第2章 貴方はそのままで【土方十四郎】
「っ、バカお前…」
指を切ってしまった私の声に気づき土方さんは厨房に飛び込んでくる。
「は、はは……久しぶりに切っちゃいました。」
出血は少量だが指というものは血が止まらないものだ。
「大丈夫です、清潔な布でおさえてたら止血され…」
土方さんの手が私の手に触れ、そのまま口元へ運ばれる。
わたしは自分の顔が真っ赤になるのを感じ、そのまま土方さんを見つめてしまう。
「っあ...…えと……」
しどろもどろになってる私を横目に土方さんはその行為を続ける。
指先に伝わる土方さんの体温。
指先を吸う土方さんの唇。
全てが私の鼓動をはやめる。
「……止まったな。」
あとは水で洗って絆創膏巻いときな、と私の頭を撫で席へ戻っていく。
ず、ずるい……
そんなことされたら……わたし……
わたし自身を脚が支えきれずそのまま座り込んでしまう。
それに気づき土方さんが駆け寄ってきてくれるが、
わたしは土方さんの腕を掴み
「すき、です……。」
そう、伝えてしまった。