第2章 貴方はそのままで【土方十四郎】
「こんな大事なもんおとすんじゃねぇよ」
「あ…」
ぶつかったときに落としてしまったんだろうか。お守りを土方さんから受け取る。
「わざわざ…これだけのために……?」
「まぁ…それもあるが……お前の飯食べたくなってよ」
そう言うと土方さんはカウンターの席に座りタバコを吸い始める。
…ああ……
優しいな……。
前もそうだ。
わたしが泣いてるところを見れば店に来てくれた。
色んなところに連れ出してくれた。
言葉ではなく行動で示してくれる。
やっぱりそんな土方さんが……
大好きだなぁ。
「…いつもので、いいですか?」
「たのむ」
土方さんと二人きりになったのは今日が初めてではないが、色んな感情が渦巻き、心臓の音がやけにうるさい。
カツ丼土方スペシャルをつくろうと、厚切りの豚肉を手に取り、筋に切込みを入れていた。
すると、緊張なのか動揺なのか。
「っいたっ、」