第2章 貴方はそのままで【土方十四郎】
また別の日。
私はまた屯所にいた。今回は菓子を作ったため、その差し入れだ。
「いやぁ、おいしいですねこのおはぎ。」
「ふふ、一から餡子を作ってみました」
「ほーんと、はなんでもできますねィ」
私の隣に座っているのは一番隊隊長の沖田くん。
私と年は同じくらいなんだけど、大人っぽい。
「……でもこう、甘いものを食べてると姉上が持ってくる煎餅が食べたくなりますねィ」
「沖田くん、お姉さんがいるんだ」
「あれ、ちゃん知らなかったっけ?総悟にはミツバさんってお姉さんがいるんだ」
「へぇ……!」
そういえば、江戸に来る前のお話、聞いたことないや。近藤さんと土方さん、沖田くんはその前からの繋がりだっていうのは知ってたけど……。
「………でも姉上は病気で死んじまいやした」
「っ!」
そう、だったんだ……
「な、なんかごめんなさい……その、思い出させちゃって。」
「……いいんでさァ。は気にすんな」
「…そういえば」
と、空気を変えようとした山崎さんが話題を変える。
「副長はミツバさんのこと、昔から好きだったんですよね?」