第103章 川辺の再会〜冨岡義勇【R強強】
ゆきは、義勇の逞しい膝の上に抱きかかえられたまま、震える声で話した。
刀鍛冶の里で起きた様々な出来事を…
美月から投げつけられた簪によって、この頬の傷がついたのだということも話した…。
けれど、無一郎から頬をぶたれたことだけは、どうしても口にできなかった。
無一郎を悪者にしたくないという思いが、ゆきの口を強張らせていた…。
話し終えてもなお、義勇が腕の力を緩める気配はなかった。
それどころか、二人の距離はますます縮まっていく。
義勇は今まで触れれなかった分を補うかのように触れてくる。
愛おしさを噛み締めるように、指先でゆきの柔らかな髪をそっと絡め取り、そのまま流れるような仕草で耳たぶへと優しく触れてきた。
あまりに自然な愛撫に、ゆきの鼓動が跳ね上がる。
「あ、あの…義勇さん…そろそろ私、戻らないと…」
これ以上ここにいては、本当に戻れなくなってしまう。
理性を振り絞って告げたゆきに、義勇は密着したまま、その低い声を耳元に響かせた。
「確か、甘露寺の屋敷で当分世話になると言っていたな」
「はい。買い物を頼まれていますし、急にいなくなったら、隠のみなさんも心配すると思うので…そろそろ戻らないと…」
早くゆきを帰さなくてはいけない。
頭ではそう理解しているはずの義勇だったが、愛しいゆきを腕に抱いたまま、微塵も動く気配を見せなかった。
ただじっと、ゆきを見つめている。
やがて、義勇の大きな手がすっと伸び、ゆきの白い頬へと触れた。
「…美月の簪の傷はわかった。だが、この頬の赤みは何だ? 傷以外にも、誰かに強く叩かれたような跡があるが」
核心を突く義勇の言葉に、ゆきは引き攣るように顔色を変えた。
隠し通せると思った秘密を暴かれ、ゆきは完全に言葉を失ってしまった。
「何があったか全部話していないだろう?」
「そ、それは…」
「話すまで、お前を離さない…」
義勇は、そう言って強くさらにゆきを抱きしめ直した。