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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎 冨岡義勇★R18

第103章 川辺の再会〜冨岡義勇【R強強】


涙を流しながら、ゆきは義勇の胸元の隊服をぎゅっと握り締めた。

そのまま彼の広い胸に顔を埋めると、堰を切ったように嗚咽が漏れ出す。

もう二度と、こんな風に彼に身を寄せることなんてできないと思い込んでいた。

自分は時透無一郎の婚約者として生きるのだと、一度は覚悟を決めたはずだった。

しかし、義勇の情に満ちた温もりに触れた瞬間、張り詰めていた心の糸がぷつりと切れてしまった…。

「大丈夫か…?」

義勇は、腕の中で小さな肩を震わせて泣きじゃくるゆきを、より一層優しく包み込んだ。

愛おしさと切なさで胸が締め付けられそうになる…。

ただごとではないゆきの様子に、義勇の心中には確信に近い予感が生まれていた。

時透と、何かあったのは間違いない…

なによりも気になるのは、先ほど見つけた頬の痛々しい傷痕だ。

誰かに刃物のようなもので切りつけられた跡と、叩かれたような赤い腫れ。

時透と共に刀鍛冶の里へ向かったはずの彼女が、なぜ傷を負い、ボロボロになってここにいるのか…?

「…ゆき」

義勇は静かに名前を呼び、大きな掌でゆきの背中をゆっくりと、あやすように擦り続けた。

不器用な彼にできるのは、こうして彼女の涙を受け止めることだけだった。

「今は師範ではないが俺が、ついている。何があっても、お前を責めたりはしない。だから…ゆっくりでいい。話してくれないか?」

その低く穏やかな声は、傷ついたゆきの心に深く染み渡っていく。

義勇の胸から伝わるトクトクという規則正しい鼓動が、ゆきの荒い呼吸を次第に落ち着かせていった。

ゆきは涙に濡れた顔を少しだけ上げ、潤んだ瞳で義勇を見つめ返した…

義勇さんにこんな事を、話すべきではない…

そう思う自分がいる一方で…義勇さんに、どうしようもなく甘えたい自分もいた…。

ついにゆきは、踏み込んでしまった…義勇の元へ…


無一郎との間に起きたあまりに哀しい出来事を、ゆきは唇を震わせながら、ぽつりぽつりと紡ぎ始めたのだった…。


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