第95章 切ない雨宿り〜冨岡義勇
しばらく経っても、ゆきの激しい震えは収まる気配を見せなかった。
義勇は眉を寄せ、腕の中で小さく硬直するゆきの背中を、大きな掌でゆっくりと優しく擦り続ける…。
「寒いのか?」
その問いかけに、ゆきは答えることができない。
無一郎への背徳感と、凍てつくような寒さが身体を蝕む感覚に、思考は麻痺していく。
いけないことだと分かっている。けれど、この絶対的な孤独と冷えの中で、義勇の熱だけが唯一の救いだった…。
「ごめんなさい…ごめんなさい、無一郎くん…」
罪悪感に涙をこぼしながらも、ゆきは縋るように義勇の首元へと恐る恐る手を伸ばした。
義勇が息を呑んで硬直するのを感じたが、拒むどころか、ゆきが掴まりやすいように自ら首をゆきの頭へと近づける。
「今は緊急事態だ…時透も咎めることはしないだろう…さぁ来い…」
義勇のその言葉に、押されるように、首筋に腕を回した瞬間、互いの濡れた肌と薄い肌着が密着した。
ゆきの柔らかな感触が、義勇の鍛え抜かれた硬い胸板に吸い付くように重なる…。
「…あたたかい…」
ゆきは思わずそう呟き、逃げ場を求めるように、さらにその胸へ身体を擦り寄せた。
その無防備で切実な仕草に、義勇の中で抑え込んでいた愛おしさが溢れ出す。
義勇は震えるゆきの首筋に、深く口づけを落とした…。
宿の外は嵐…雨音が激しく鳴り響く…。
二人を隠すように降りしきる雨の音だけが、この罪深い夜を許してくれるような気がした。
義勇の腕の中で、ゆきは温もりに安堵したのか、深い寝息を立て始めた。
義勇は愛しいゆきの寝顔を見つめ、ただ静かに、その背中を抱きしめ続けた。
この激しい雨を、言い訳にして俺はお前を腕の中に閉じ込めている。
甘い香りに、包まれて酔いそうだ…ゆき…
柔らかな肌が、まるで俺を誘っているかのようだ…。
薄い肌着から透けて見えるお前の桜色の膨らみが、俺の理性を刺激する…。
それに、触れて舌で優しく愛撫してやりたい…
そんな衝動に押し流されそうになる…
腕の中にある甘い果実…
それを、食べたいと思っているもう一人の自分と義勇は密かに葛藤していた。