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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第95章 切ない雨宿り〜冨岡義勇


雨に打たれ続け、氷のように冷え切ったゆきの身体は、激しい震えが止まらない。

義勇の腕から逃れようと微かに身をよじるものの、心身ともに限界を迎えたゆきの指先には、もはや抗う力など残されていなかった…。

宿屋の主人が申し訳なさそうに案内した先は、小さな一組の布団が敷かれただけの狭い部屋。

灯りがわずかに揺れる中、義勇は有無を言わせぬ所作でゆきを畳へ下ろすと、自身の濡れた隊服とシャツを脱ぎ捨てた。

露わになった逞しい胸板と引き締まった筋肉が、狭い空間に男としての熱気を充満させる…。

「悪いが、失礼する」

低い声とともに、義勇の大きな手がゆきの羽織を脱がせていく。

突き放そうと上げた手は力なく震え、「やめて」の言葉さえも吐息になって消えていく。

義勇の瞳は、切ないほどに真っ直ぐだった。

濡れて肌に張り付いた隊服のボタンを、義勇は慣れた手つきで一つ、また一つと外していく。

剥き出しになった素肌に冷たい外気が触れるたび、ゆきは恥じらいと罪悪感に目をぎゅっと閉じた。

無一郎への想いが胸を締め付け、義勇の温もりがそれをかき乱す。

すべての衣服を取り払われ、肌着一枚になったゆきを、義勇は自身の身体で包み込むようにして布団の中へと引き寄せた。

「…こんなに冷えて。寒かったな…風邪を引かぬように抱きしめてやろう。」

義勇の熱い肌が、ゆきの凍える肌に重なる。

逃げ出したいという本能と、この温もりに縋りたいという心がせめぎ合い、ゆきの瞳からひと筋の涙が零れ落ちた。

義勇はその涙を親指でそっと拭い、ゆきのおでこに、自らのおでこを預けた。

「俺のことなどどう思ってもいい。だが、このまま凍えて風邪を引かせたくない」

拒むことさえ許さない義勇の想いが、ゆきの意識を真っ白に染めていく。

冷え切った身体に、義勇の体温が溶け込み、抵抗する術を奪う。

ただ雨音だけが激しさを増す夜…ゆきは、自身の逃げ場がどこにもないことを悟り、義勇の腕の中で小さく震え続けることしかできなかった。
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