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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第94章 新たな生活〜時透無一郎 冨岡義勇【R強】


「こんなこと、もう困ります」

ゆきは呼吸を荒くし、涙ぐんだ瞳で義勇を見つめた。

義勇は、先ほどまで自分の腕の中にあった体温と残り香を惜しむように、切ない表情でじっとゆきを見つめた。

「俺は…。俺の体を気遣って、朝早くから料理を作ってくれたお前が、まだ俺の事を……」

「それは!」

ゆきは義勇の言葉を遮るように、食い気味に遮った。頬を赤くさせながら、必死に自分の心に言い聞かせるように言葉を続ける。

「柱であるあなたは、いつでも万全でいなければならない。継子として、師範の健康を心配するのは当然のことです。……私は、無一郎くんを選んだのです。お願いですから、もうやめてください」

その言葉は、義勇の胸を貫く。

義勇にとってその「心配」は、淡い期待を抱かせる甘い甘い行為だった。

義勇の表情を見るとゆきの胸が締め付けられる。

「…ゆき」

「稽古を、早くつけてください」

ごめんなさい…義勇さん…私余計な事をしてしまいましたよね。稽古以外で関わってはいけないのに…

「…わかった」

義勇の声が寂しそうに響いた…。

夕方まで、二人の間に交わされる言葉は竹刀のぶつかり合う音だけだった。

沈黙は重く、しかしその一振り一振りに、義勇の届かない想いがこもっていた。

帰り支度を整え、道場を去ろうとするゆきに、義勇が声をかける。

「今夜も警備に出る。…前みたいに、一緒に来てくれるか?」

ゆきは歩みを止め、少しだけ考えてから答えた。

「警備も立派な任務です。…勿論、お供します」

その言葉に、義勇は胸が高鳴る。

断られると思ったから…これが彼らにとって、許された唯一の二人の距離感…。

「では、時透には警備に連れて行くので、帰りが明け方になると鴉を飛ばしておく」

「…はい」

無一郎くん…いい気しないよね?
元々継子を、やめて欲しい感じだったのに…明け方まで警備って…

警備中も、何も話さないでおこう。

必要事項だけ…話すのはそれだけにしよう。

それ以外は…

私と義勇さんは、師範と継子…

ただそれだけなんだから…



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