第91章 噂を消した方法〜時透無一郎【R強強】
無一郎の屋敷ー
夜も深くなる頃、無一郎は美月と共に戻ってきた。
「形見の簪、見つけてあげたいけど…全然見つからないね」
「はい…」
俯く美月に、無一郎は優しく言葉をかける。
「任務がない時は見つかるまで付き合うから、気を落とさないで」
その温かさに、美月の胸は罪悪感でズキリと痛んだ。
そっと懐に手を這わせれば、そこにはあるはずのない「失くした簪」の手触り。
好きだから、少しでも長く一緒にいたいからついた嘘…。
「ごめんなさい…無一郎様…」
消え入るような謝罪は、無一郎に届くこともなく夜の闇に溶けていった。
ーーー
無一郎は、足早にゆきの元へ向かう…襖をゆっくりと開いた
部屋で待っていたゆきの姿を見て、無一郎の瞳が和らいだ…。
「起きてたの? 遅くなってごめんね」
湯浴みを済ませたゆきは、柔らかな浴衣を身にまとっていた。
昼間の激しい情事の名残か、それともしっとりと濡れた髪のせいか、どこか酷く色っぽく映る…。
無一郎は不意に胸の高鳴りを感じ、恥ずかしさに耐えかねてふっと目を逸らした。
照れを悟られぬように話を始めた
「まだ、美月の探している簪が見つからなくてさ…」
事情を知っているゆきは、「早く見つかるといいね」と、責めるでもなく健気に微笑んでみせた。
その無垢な笑顔が、昼間に無一郎が抱いた
【冨岡さんに奪われるかもしれない】
という無一郎の不安を、甘く、切なく揺さぶる…。
無一郎は引き寄せられるようにゆきの白い頬へ手を伸ばした。
そっと指先で 輪郭をなぞり、見つめた。
「…汗、かいちゃったから、僕もお風呂に行ってくる。待っててね」
名残惜しそうに指を離し、無一郎は部屋を後にした。
残された部屋で、ゆきはトクンと高鳴る胸を押さえる。
今夜もまた、あの激しくも切ない愛に溺れていく…。
無一郎の行為に、身体を委ねながら…
頭の片隅に、義勇を想いながら…