第91章 噂を消した方法〜時透無一郎【R強強】
汗が滲む布団の上で、ぐったりと身体を横たえるゆき。
そんなゆきの頬を、無一郎は愛おしそうに、優しく撫でた。
「汗びっしょりにさせちゃったね…ごめんね。動けそうにない?」
深く激しく何度も愛された身体は鉛のように重く、ゆきはただ荒い息を吐きながら、虚ろな瞳で無一郎を見つめることしかできなかった。
「夜も何回もしちゃったから…疲れちゃったかな?」
「だ、大丈夫だよ…ただ、そろそろ、お稽古に行きた…」
途切れ途切れに紡いだその言葉が、無一郎の心の奥に潜む不安の引き金を引いた。
一瞬にして無一郎の顔色が変わる…。
どこか、あどけなさを残した表情は消え去り、冷たい視線がゆきを捉える。
「駄目だよ。冨岡さんは、君のことがやっぱり好きだと宣言したんだ。行かせたくない。それと、冨岡さんの継子も早くやめてもらわないと…」
絶対に義勇に取られたくない…それが伝わってくるかのように、低く響く無一郎の声。
無一郎の胸を占めるのは、義勇へと向かうゆきの心を繋ぎ止めたいただそれだけだった。
ゆきは、感じていた…無一郎をこれほどまでに追い詰めているのは、自分の中に残る義勇への断ち切れぬ想いなのだと…
その張り詰めた空気を破るように、美月が無一郎を呼ぶ声がした。
「無一郎様、用意ができました」
我に返った無一郎は、再びゆきの耳元へと顔を寄せ、切なげな約束を囁く…。
「今夜は任務がないんだ…また夜にね…」
無一郎は後ろ髪を引かれるようにゆきを見つめながら、美月と共に彼女の母親の形見である簪を探しに、静かに部屋を後にした。
残された部屋で、ゆきは静かに目を閉じる。肌に残る無一郎の熱と、胸に燻ぶる義勇への想い…。
「どうしたらいいの…私は…」