第90章 好き〜時透無一郎 冨岡義勇【R18】
「無一郎くんだって…どうなの?」
絞り出すような私の声に、無一郎くんの表情が険しくなる。
「美月さんとこの前、縁側で抱き合っていたじゃない…。それに、任務だって嘘をついて、朝まで部屋で過ごしたくせに…」
一気に捲し立てると、無一郎は驚きの表情をみせた。
確かにあの夜、無一郎は美月を抱きしめていた。
けれど、あれは彼女に秘密を握られ、そうするしかなかった、彼なりの理由があったのだ。
「僕には、そうしなきゃいけない理由があった。でも、君にはないでしょ?」
無一郎の正論が突き刺さる。けれど、胸の痛みが私を突き動かした。
「あるよ…! 無一郎くんが、帰ってこなくて、心配だったから…!」
「心配なら、この屋敷で隠と一緒に僕を待っていればよかった。どうして…いちいち冨岡さんのところに行くの?」
「それは…」
言葉に詰まるゆきを見て、無一郎の唇が歪み震える。
「ほら、答えに困ってる」
「…義勇さんは、私の師範だし…。やっぱり、本当に困った時は…」
「僕に誤解されるとか、思わなかったの?」
重ねられた声は、低く、震えていた。
「柱同士だし、何か情報を持っていると思ったから…」
「柱なら、甘露寺さんにだって聞けたはずでしょ?」
無一郎は、絶対に引かなかった。
じりじりと距離を詰められ、背中が襖に当たる。
逃げ場をなくしたゆきの顎を、冷たい指先がそっと、上向かせた。
「言い訳ばかりだね…。本当は、僕じゃなくて冨岡さんが良かったんじゃないの?」
いつもなら絶対に言わないような、子供じみた、切ない嫉妬の言葉…。
「違う…。私は…」
言いかけた唇は、容赦なく無一郎の唇によって塞がれた。
激しい口づけの最中、頬に触れた無一郎の指先が、微かに 震えていることに気がついた…。
その時
「無一郎様…今よろしいでしょうか?」
美月の声だった