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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第89章 それぞれの夜〜冨岡義勇


水柱邸の廊下ーー

暗い廊下を運ばれる間、ゆきの心臓は、義勇の鼓動と共鳴するように激しく波打っていた。

寝室に辿り着き、柔らかな布団の上に下ろされた瞬間、逃げ場のない恐怖と、義勇を拒絶しきれない自分への苛立ちが爆発する。

「やめて…! 嫌だ、離して…!」

布団から這い出そうとするゆきの手首を、義勇は躊躇すること無く掴み、覆い被さるように組み敷いた。

「一緒に寝ない…お願い、一人にして!」

「駄目だ。お前を一人にはさせたくない。…何もしない、ただ隣にいさせてくれ」

義勇は、引かなかった。

だが、今のゆきにはその言葉さえ、自分を縛り付けるように感じ息苦しかった。

自由を求めて必死にもがくゆきの肌に、義勇の熱い息がかかる。

暴れるたびに、薄い寝間着越しに伝わる義勇の逞しい体の感触が、ゆきの体に直に伝わってくる。

「暴れると…こうやって黙らせるぞ」

声を発した直後、熱い唇が強引に重なった…。

「んっ…ふっ…!」

それは、吸い付くような深い口づけだった。

間近で感じる義勇の香りと、口内に侵入してくる舌に、ゆきの意識は飛びそうになる。

だが、無一郎への罪悪感と意地がゆきを突き動かした。

ゆきは必死の思いで、義勇の唇を強く噛み切った。

「っ…!」

血の味が口の中に広がる。

義勇がわずかに怯んだその隙を突き、ゆきは義勇を突き飛ばして部屋を飛び出した。

廊下を、裸足のまま、ただがむしゃらに駆ける…。

背後で、義勇の足音が響いた。

「ゆき…!」

唇から一筋の血を流しながら、義勇が追ってくる。

逃げないでほしい…ゆき…俺をそんなに、拒絶しないでくれ…

暗い屋敷の奥へと消えていく二人の影…

「来ないで!」

「ゆき!隠も寝ている静かにしろ」

離れの廊下まで追い詰めたゆきの腕を、義勇はぎゅっと掴んだ。

逃げないでくれ…ゆき…








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