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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第89章 それぞれの夜〜冨岡義勇


同じ時刻、藤の宿ではー

「どうして…どうして君が僕と同じ部屋に、同じ布団にいるの? 自分の部屋で休めと言ったはずだよ」

頭を抱え、無一郎は声を荒げて問い詰める。

しかし、美月は恥じらう素振りを見せながらも、逃げようとはしなかった…。

「…勝手に入ってきたのは、私かもしれません。でも…私をゆきさんと間違えて、あんなに熱く抱き寄せたのは、無一郎様ではありませんか?」

その言葉は、無一郎の胸に刺さった…。

不覚にも夢に溺れ、判断を誤ったのは自分だ。

否定できない事実が、無一郎を黙らせた。

「とにかく、今すぐ出て行って。自分の部屋に戻るんだ」

しかしいっこうに、美月は動かない。

それどころか、美月は無一郎の胸元に顔を埋め、しがみついた。

乱れた着物の隙間から、晒を巻いていない彼女の柔らかな体温が、無一郎の剥き出しの胸板に直接伝わってくる…。

「いくらそんな風に誘惑したって、僕は動じないよ、何も感じない。…離れて」

冷たい無一郎の視線が美月をじっと見つめる。

だが、美月の覚悟は無一郎の想像を遥かに超えていた。

「いいえ、離しません…。ゆきさんがいない今、貴方を癒せるのは私だけです…」

美月の指が自らの浴衣の帯に掛かる。

ハラリと衣服が滑り落ち、白い肌が月の光に晒された…。

「何してるの?辞めてよね…」

無一郎は、冷静に美月のはだけた浴衣を肩に掛けてやった。

「もっと自分を大切にしなよ…」

「わ、私は無一郎様の事をお慕いしております!」

「それは、わかってるよ」

「ならば…」

なおも、自分にしがみつく美月を無一郎は優しく引き離す。

「わかってよ…美月…部屋に戻って。明日は一旦屋敷に帰ろうゆきが心配しているかもしれない。」

「無一郎様…私は…」

「君じゃないんだ。僕の好きな人は…だから…」

窓の外では、藤の花が静かに揺れている。

想っても届かぬ思いに美月は、小さく頷き部屋を出て行った。

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