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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第89章 それぞれの夜〜冨岡義勇


その頃ゆきはー

義勇が部屋を去り、ゆきは彼の寂しげな背中を思い出し、胸を締め付けられるような罪悪感に苛まれていた…

夜の帳が下りた真夜中。眠れぬ夜を過ごしていたゆきは、冷えた空気に誘われるように縁側へと出た。

見上げる月は輝き、行方のわからない無一郎の姿をそれに投影させた。

銀子は「心配ない」と言っていたが、その言葉を信じきれるほど、ゆきの心は強くはなかった。

不意に、冷たい夜風が頬を撫でる。 

「くしゅんっ」

小さなくしゃみが、静まり返った屋敷に響く。

その直後…

背後から、逃げ場を塞ぐように力強い腕が回り、逞しい熱い体が背中に密着した。

「えっ? 義勇、さん…?」

驚きで見上げると、そこには月光に照らされた義勇の顔があった。

別室へ移ったはずの義勇が、そこに立っていた。

「いくら夏が近いとはいえ、夜風は冷える。…寝間着のまま外に出るなと言っただろう」

甘く優しい声

義勇の腕には力がこもり、ゆきの体を包み込む。

先ほどゆきに、拒絶されたはずなのに、義勇は、彼女を離そうとしない。

「義勇さん…あの、もう大丈夫ですから。部屋に戻ります、離して…」

言いかけた唇が、驚き凍りつく。

ふわりと視界が揺れ、ゆきの体はあっさりと宙に浮いた。

義勇の腕が膝裏と背中に回る、有無を言わさぬ力で抱きかかえられた。

「義勇さん!?」

「顔が青ざめている。これ以上、一人にするわけにはいかない」

義勇は歩みを止めず、そっと手の甲でゆきの柔らかな頬を撫でた。

「やはり、一緒に寝よう。…不安定なお前を一人に出来ない…俺がそばにいる」

その声は命令ではなく、お願いのように聞こえた。

ゆきは義勇の胸板に顔を埋めることしかできず、トクトクと音を打つ義勇の鼓動を耳にする。

流されるままゆきは義勇に抱かれ、暗い廊下の先にある寝室へと運ばれていった。

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