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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第89章 それぞれの夜〜冨岡義勇


ゆきは、焦りながら義勇の腕から逃れた。

「私は、帰ります…」

潤んだ瞳でそう告げるゆき

窓の外はすでに暗く、精神的に不安定なゆきを、このまま一人で帰すことなど到底できない。

「駄目だ、泊まれ」

ゆきは困惑し、逃げ場を求めるように壁際へと後ずさる。

「…では、ここではなく、別室を貸していただければ…」

その消え入りそうな声に、義勇はゆっくりと距離を詰めていく…。

壁際に追い詰められたゆきの、震える体を優しい視線で見つめた。

「俺の部屋を使え。…俺が、別の部屋へ移る」

その言葉を聞いた瞬間、ゆきの表情にパッと安堵の色が広がった。

あからさまにホッとしたゆきの様子に、義勇の胸の奥が微かに痛む…


無防備な寝顔で、あんなにも愛おしそうに俺の名を呼んでいたというのに…。

義勇はわずかに目を伏せ、ゆきの心を占める一番の不安…無一郎の話を静かに始めた…

「時透の鴉…銀子に聞いた。あいつの居場所までは掴めていないが、鴉いわく我々は、『気にしすぎだ』そうだ。時透の身に危険な感じもしないそうだ」

「…そう、なんですか?よかったぁ…」

ゆきは、体の力が抜けたようにその場にへたり込んだ。無一郎のマイペースさを知る銀子の言葉は、何よりの信用できたからだった…。


「おいで、不安だっただろう?」

そう言って義勇は、ゆきに両手を広げてきた。

ゆきは、戸惑い首を横に振る…

「いいから…来い」

義勇も後に引かない…

「だ、大丈夫です。義勇さんこそお疲れでしょうから休んでください」

そんなに、俺を拒絶しないで欲しい…怯えた顔を見せないで欲しい…。

「おいで、ゆき」

「義勇さん…本当に…もうやめてください…」

ゆきの言葉が、胸に突き刺さる…。

俺は、それ以上何も言えなかった…

まだ一緒に居たかったがゆきが、それを望んでいるように感じられなかった…だから静かに部屋を出た…。



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