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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第89章 それぞれの夜〜冨岡義勇


ふすまを静かに引くと、すやすやと眠る、ゆきの寝顔があった。

目の前で眠る姿を見て義勇は知らずのうちに深く息を吐き出す。

時透の無事は銀子の言葉で半ば確信に変わったものの、まだ本人は帰らず…ゆきの不安は消えないだろう。

ふと見れば、ゆきは掛け布団を蹴飛ばし、それを愛おしそうに両腕で抱きしめるようにして丸まっていた。

「風邪を引くぞ」

独り言のように呟き、義勇は膝をついて手を伸ばした。

抱き枕代わりにされている布団を優しく解き、ゆきの体を包み込もうとした、その時だった。

「…ぎゆ、さん…」

鼓動が跳ね、あまりの衝撃に一瞬、呼吸の仕方を忘れてしまうほどだった…。

俺の夢を見ているのか?

ゆきは、また掛け布団を腕の中に抱くと安心した様子で寝息を立てた。

「…ここに、いる」

応える声は、自分でも驚くほど震えていた。

義勇は、布団を掛け直すはずだった手を、そのままゆきの頬へと動かした。

自然と顔を近づけていた…唇が触れる寸前に、ゆきがゆっくりと目を開いた。

いきなり迫る義勇の顔に、ゆきは驚き思わず義勇を押し退けた。

「ご、ごめんなさい!びっくりして…」

「寝言で、俺を呼んでいた…」

「えっ?」

「…その布団から、俺の匂いがしたから夢に出てきたのか?」

図星を突かれ、ゆきは頬を桜色に染めて俯いた。

無一郎くんがいないこんな時なのに

そう…紛れもなく義勇さんの夢を見ていた…

そして、夢の中でも義勇さんは今のように、こうして傍にいてくれた…。

そんなゆきを見つめ、義勇は静かに告げる。

「時透はまだ見つかっていない。…一人で不安な夜を過ごさせるわけにはいかない」

義勇はゆきの肩を引き寄せると、耳元で優しく囁いた。

「今夜は、ここにいろ。お前が眠りにつくまで、俺が時透の代わりに側にいてやる」



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