第15章 俺のもの、僕のもの 冨岡義勇【R18強】時透無一郎【R18】
唇と唇の間にとっさに手を入れた。「いけません。」
義勇が手を掴み無理に唇を合わせてくる。
無理やり唇を奪われた。
「んっ…」
義勇をゆきは押し退けた。
「時透の事を思っているのは気付いている。だが俺の気持ちが止まらない」
ゆきは、深く深呼吸して話し始めた。
「私はずっと前から師範の事が好きでした。継子にして下さった時、好きな方とずっと一緒にいれるってとても嬉しかったです。師範と初めて体を合わせた日はとても幸せでした。だけどしのぶさんと口づけしている所をみてしまい、それにしのぶさんとの関係の弁解なども何もなく師範の気持ちが見えませんでした…。」
「あ、あれは胡蝶がいきなり!それにしてない」
義勇は、慌てた様子で答えた。
「それに、それに、しのぶさんに私と師範は体だけの関係だと言われました。大切なら体をすぐに求めないと…師範、一時期私を毎晩求めましたよね?それもいつも無一郎くんの話ばかり出してきて。それで、あぁ体だけなのかな?って感じました。」
「違う、それは誤解だ!ちゃんと大切だった。」
「言葉がないと分からないです…。」
「…だから今は頑張って伝えている。」
「無一郎くんは、まっすぐだったんです。事あるごとに好きっていつも伝えてくれるんです。私がまだ師範に恋してる時もずっとずっと…」
ゆきは、涙を流しながら自分の腕に絡みつく義勇の手を離そうとした。
「ちゃんと好きだったんですよ。義勇さんの事。柱合会議があり無一郎くんについて行った時に義勇さんに会えるのが嬉しかった。」
「ゆき…」
「義勇さんは私の事なんて好きじゃないと思ってたのに、急に好きって言うし…どうしたらいいんですか?」
義勇は、ゆきを抱きしめた。離れようともがくが離さなかった。離れたくなかった。
俺のことをそんな前から好いてくれていたのか?胡蝶とのあの出来事なんでうやむやにしてしまったんだ…。何であの時毎日抱けば俺がどれだけゆきが好きか伝わると思ったんだ…。好きだから毎日自分のものにしたかっただけなのに…。毎日繋がれば気持ちも繋がっていると勝手に思っていた。何で俺はこんなに口下手なんだ。
「俺から離れないでくれ…」
元気のない声…義勇さん?
「ゆきがすべてなんだ」
外はもうすぐ冬…冷たい風が吹いていた
