第15章 俺のもの、僕のもの 冨岡義勇【R18強】時透無一郎【R18】
しばらく義勇は、ゆきを抱きしめたままでいた。
抵抗していたゆきが、力無く義勇にもたれかかってきた。
鎮静剤が切れてきたようだった。
「痛い…」
熱も高くなっていた。義勇は慌てて鎮静剤を口に含み
ゆきに飲ませた。
痛みを早く和らげたいのか義勇の口に吸い付くように鎮静剤を飲んできた。
痛みを取りたいから意識が朦朧としての行為だとは分かっているが、不謹慎ながらもこの行為に俺は酔いしれてしまう。
ゆきの頬に添える俺の手が熱っぽくなってしまう。
その様子を戸の隙間から百合は見ていた。
俺はその事を分かっていたが止められなかった。俺の唇を自分から求めてくるゆきをずっと感じていたかったから。それにこれを見たら百合が諦めてくれるかも?とも思ったからだ。
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それから二週間が過ぎた。腕の骨折も良くなってきて何でも自分で出来るくらい回復していた。
百合は相変わらず義勇にべったりだった。二人のあの様子を見てから余計にべったりになっていた。
今日も朝から甘えていた。瓶の蓋が固くて開かないからと隣にぴとっとくっつき開けてもっていた。
丁度台所にお水を飲みにそこにゆきがきた。
義勇はそれに気づいて百合から離れたがゆきは気にすることなく一杯お水を飲んで出て行った。
夜は義勇と百合は二人で食事をする。「ゆきの食事はちゃんと持っていってやったのか?」
「もうある程度動けるから夜は食べに行きますって言われました。それより美味しいですか?」
「今ゆきは出てるのか?」
百合は少しムスッとした。「はい。居ないです」
義勇は心配になった。最近近辺で鬼の出現が増えていたからだ。
黙って義勇は立ち上がった。
「だめ!」
百合が手を掴んだ。「ゆきさん見に行くんでしょ?嫌です。あの子強いんでしょ?一人で大丈夫ですよ。」
「怪我してるから刀を使えない」
百合の手を振りほどこうとしたその時百合が、口づけしてきた。
義勇の目が見開く。
反射的に突き飛ばしてしまった。そしてすぐに口元を腕で拭った。
「私は婚約者です。もっと私を求めてよ!あの子は継子でしょ?なんで私を求めないんですか?私の方があの子より良く見えないんですか?」
百合が潤んだ瞳で見てきた。