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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第85章 霞柱邸〜時透無一郎【R強】


義勇の言葉が、ゆきの心に刺さる

「…俺たちは関係をもっているじゃないか?」

その事実を、淡々とした口調で突きつける声に、ゆきは息を止めた。

昨日、心ない隊士に浴びせられた「身体を売っている」という罵倒が、義勇の口から肯定されたような錯覚に陥る…。

「…っ、それは…」

言い返そうとして、言葉が出ない。

確かに、義勇の手の温もりも、肌が重なった夜の記憶も、すべては現実だ…感触も全部覚えてる…

確かに、私は何度もあなたに抱かれた…

「俺は何度もお前を抱いている。それは、俺がお前を求めたからだ。決して身体だけが目的だったわけではない…好いていたから抱いていた。」

隊士たちが噂するような体を売られ買うなどではない。
俺はお前が好きだから抱いていたんだ…。

「と、とにかく、いくら誰も見ていないからと言って、距離を詰めるのはやめましょう。これ以上、誤解されたくないんです。」

ゆきは震える手でスカートの裾を整え、逃げるように立ち上がった。義勇が伸ばしかけた指先は、宙を掴んで力なく落ちる…。

「…わかった。稽古の続きを始めよう」

その後、交わされた竹刀の音には、以前のような通じ合う心は微塵もなかった…。 

夕刻になり、稽古が終わると、ゆきは一刻も早くこの場を去ろうと帰り支度を急ぐ。

義勇は、その背中をじっと見つめていた。

「時透の屋敷では、部屋は…一人か?」

「は、はい…」

「昨夜は…一人で寝たのか?」

「はい…」

自分は、しのぶを選んだはずだ…ゆきに一体何を聞いている?けれど、一人で寝たと聞いてホッとしている…。

「時透との婚約…受け入れるのか?」

「…わかりません…無一郎くんには、美月さんがいるし…」

「そうか…」

胸の奥が、焼けるように熱い。時透のものになるかもしれないという焦りが、義勇の冷静さを奪っていく。

後から抱き締めて帰したくない…お前の甘い香りに包まれたい…

「気をつけて帰れ。また明日…」

今夜も一人で眠って欲しい…ゆき…時透の腕の中で眠るな…気が狂いそうだ。

その甘い香りは、俺だけのものだ…

「はい…また明日…」

ゆきは、目を合わさず答えた…

義勇は、去り行くゆきを見えなくなるまでじっと見送った。




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