第84章 柱の命令〜冨岡義勇 時透無一郎【R強】
無一郎は、無表情で隊士へとどんどん詰め寄っていく。
逃げ場を失い、涙を流しながら必死に謝罪を繰り返す隊士だったが、無一郎の冷たい瞳に追い詰められ、ついに苦し紛れの言葉を口にした…。
「あ、あのゆきって女…!あいつ、最終選別を突破していないんですよ!もとは霞柱の継子だったくせに、柱を騙して…!今は水柱を身体で虜にして、やりたい放題なんです!稽古と言いながら毎日何をしていることやら…」
その言葉を聞いた瞬間、無一郎の醸し出す空気がかわった。
「だから? ゆきが最終選別を突破していないのは、僕がお館様に頼んだからだよ。君には関係の無い事だ…柱の僕に、何か文句でもあるの?」
日輪刀の切っ先が、隊士の喉元にすでに触れていた。
隊士は震え上がり身動きが取れない…
「水柱に身体で取り入ってる? …ふうん。君、自分の命が惜しくないんだね。そんな醜い嘘で彼女を貶めて、僕が黙っていると思った?」
自分より遥かに年下の無一郎の放つ威圧感に、隊士は動けない…
「…ねえ君は、ゆきを侮辱し身体も傷つけた…許す気にはなれないなぁ。」
無一郎がゆっくりと刀を振り上げた、その時。
「やめて、無一郎くん!」
背後から響いた、叫び声
肩を上下させ、駆けつけたゆきが、そこに立っていた。
ゆきの瞳には涙が溜まり、その震える姿を見た瞬間、無一郎の心がちくりと痛んだ。
「ゆき…。どうして来たの?来なくてよかったのに」
無一郎は刀を下ろさず、冷たい表情のまま振り返った。
「もういいの…。お願い、それ以上はやめて。」
ゆきは無一郎の腕にそっと手を添えた。震えるゆきの指先から伝わる体温が、無一郎の激しい殺意を少しずつ溶かしていく。
「…君がそう言うのなら…」
無一郎は、ゆきの言うことを聞き入れ日輪刀を鞘にしまった。
だが、男はまた言葉を続けた
「霞柱!こいつに、騙されたらいけませんよ!継子の立場を理由して水柱に、体を売りろくに任務にも行かずに…鬼殺隊員として恥ですよ!男を翻弄するそんな女なんです!」
心無い言葉でゆきの目には涙が溢れる…
無一郎は、それを見て止まらずにその男の胸ぐらに勢いよく手を伸ばそうとした
だが、ある声で動きが止まる…