第84章 柱の命令〜冨岡義勇 時透無一郎【R強】
義勇は、今日ゆきが手首を痛めていたこと、隊服のボタンが緩んでいたこと……そして、何かを必死に隠そうとしていたことが気になりしのぶをの誘いを断り
宿舎に戻るゆきを密かに追っていた。
義勇は、先ほどまでゆきが襲われていた茂みに辿り着いた…
そこには、激しく争った跡のように散らばった鴉の羽根と、光る隊服のボタンが落ちていた…。
「ゆきのものか…?」
ボタンを拾い上げる義勇の瞳に、不安がよぎる…
ゆきを傷つけた者がいる…義勇は、急いで宿舎に向かった。
一方、ゆきは宿舎の部屋で、震える手で隊服を脱いでいた。鏡に映る自分を見るのが怖くて、小さく溜め息をつく。
「明日着て行く隊服が、あのスカートのしかない…どうしよう。義勇さんに、変に思われちゃう…勘付かれたらどうしよう…また迷惑かける」
隠したい。自分のせいで柱で毎日多忙な義勇さんに迷惑かけたくない…それに、しのぶさんとの関係も私なんかの事で邪魔したくない…
そんな想いと、襲われた恐怖による極限の疲労が重なり、ゆきは深い眠りに落ちていった。
暫くして…
月明かりに照らされた部屋の窓に、すうっと人影が現れた。
窓から音もなくその影が部屋へと侵入する。
ゆきは夢の中で、魘されていた…山賊の夢だった。
あの襲われた時の感触が蘇る…
気持ち悪い感触…
そんな様子を侵入した影の主は静かに見ていた。
「うっ…い、いや…離して…」
魘されているゆきの頬にそっと触れた…その瞬間ゆきが、目を開いた。
「ん?…むいちろう…くん?」
影の主は無一郎だった。
「大丈夫?魘されていたけど?」
ゆきは、汗びっしょりだった…無一郎は、そんなゆきを優しく抱きしめてあげた。
「山賊の…夢を見たの…」
「そっか…怖かったね大丈夫だよ…僕がいる…安心して
」
無一郎は、優しくそう言いゆきの背中をトントンと叩いてあげた。
「無一郎くん…こんな所誰かに見られたら大変だけど…あの…まだ…帰らないで…」
ゆきが、目を潤ませて無一郎の顔を見つめてきた。
「君が眠るまでずっと背中を叩いててあげるよ…」
無一郎くん…こんな時にだけ甘えてごめんね。ズルいとわかってる…。