第84章 柱の命令〜冨岡義勇 時透無一郎【R強】
「嫌です。帰りません。…一緒に居たいです。」
しのぶの、震える指先が義勇の隊服を掴んだ。
いつも微笑みを絶やさないしのぶが、初めて見せたなりふり構わぬ我儘…。
けれど、今の義勇はさっきまで腕の中にいたゆきの感触が忘れられない…しのぶとこの後一緒に過ごすなど考えられなかった。
「…ならば、俺が出る」
優しい嘘で塗り固めることもせず、義勇はただ短く告げ部屋から出て行ってしまった。
残されたしのぶは、ただ虚しさが募るだけだった…。
ゆきさん…あなたの存在が、彼をこれほどまでに変えてしまったのですね…
私は、やはりあなたが嫌いです…彼がどんどん変わっていく…。
一方、夜道を急ぐゆきの上空では、義勇の鴉、寛三郎が静かに見守っていました。
義勇からもらった文を胸に抱き、足早に急ぎます。
しかし、宿舎まであと僅かという場所で、暗がりに潜んでいた何者かがゆきの行手を邪魔した。
その人物は…今朝、絡んできたあの隊士だった。
「こんな遅くまで、随分と熱心な稽古だったようだな」
茶化したような物言い…無視して通り過ぎようとした瞬間、ゆきの体は強引に茂みへと引きずり込まれた。
「離してください…っ!」
「なに大事そうに抱えてるんだ?あっ?文か…?」
抵抗も虚しく、大切な文を取り上げられた。
男は中身を読み上げ、馬鹿にしたように嘲笑った。
「柱様はよほどお前がお気に入りらしい。一体、何回身体を重ねれば、これほど甘やかしてもらえるんだ?」
ゆきが震える声で「離して」と言い返したその時…
パチンッ!!
男は、力いっぱい頬を叩いてきた。
その痛みが引き金となり、ゆきの脳裏には、かつて自分を犯した山賊たちの記憶が、いっきに蘇った。
「お前最終選別を受けてないらしいな?そんなんで、どうやって継子になんかなれたんだよ?絶対に体で継子になれたんだろ?」
怖い…動けない…山賊の感触が…蘇る…
「柱二人を、虜にした体を今から俺が見てやるよ」
隊服のボタンが外されていく…ゆきは、動けなくなり震えるばかりだった。
「胸…大きそうだな」
「い、いや!」
頑張って抵抗した途端口の中に、ゆきの羽織の端を突っ込まれ声を遮られた。
「何の努力もなく継子になりやがって」