第84章 柱の命令〜冨岡義勇 時透無一郎【R強】
しのぶが門前で足止めされていることなど露知らず、義勇の口付けは続いていた。
「ん、んん…っ! ふ…ぁ…」
絡み合う舌と舌が、逃げ場のない口の中で熱く、ねっとりと絡みつく。
それに、さっきからゆきの太ももの付け根には、義勇の硬くなったものが容赦なく押し付けられていた…。
「…っ、は、や…っ」
部屋には、唇の触れ合う音が絶え間なく響き、ゆきの思考は麻痺していく…。
拒もうとすると、恋人のように指を絡められ、組伏せられもっと動けなく押さえつけられた。
その時、廊下から近づく足音に義勇が気づき、ようやく密着していた唇を離してくれた…繋がっていた唾液の糸がぷつりと切れ、ゆきは肺に流れ込む冷たい空気を求めて、義勇の下で「はぁ、はぁ……」と肩を上下させ、荒い呼吸を繰り返した。
ふすまの向こうで足音が止まった。
「し、失礼します! 柱、明日の任務の打ち合わせは長引きそうですか?」
隠の必死な声。義勇は、機転をきかせてくれているとすぐに、気がついた。
だが、まさかしのぶが屋敷に来ているとは思いもよらなかった。
義勇は、乱れた呼吸で潤んだ瞳を向けるゆきをじっと見下ろし、口付けで腫れぼったく赤らんだ唇を、自分の親指でゆっくりと、名残惜しそうになぞった。
「…もう終わる」
低く、甘い声で外へ告げると、義勇は絡めていた指を一本ずつゆっくりと解き、その重い体をゆきの上からどけました。
解放された瞬間ゆきは、すぐには起き上がれず放心状態だった。
それに、まだ熱を帯びたままの唇を震わせ、自分の中に残る義勇の感触を必死に隠そうと動揺していた。
そんな状態のゆきを、義勇は起き上がらせ乱れた羽織を直し、髪も整えてくれた。
義勇が、ゆきの身だしなみを整えたと同時にふすまの向こうから慌てた隠の声がしてきた。
「いけません!柱はまだ打ち合わせ中でして、中には入れません。」
「私も、明日は同じ任務ですから打ち合わせに参加しても大丈夫なはずです。」
しのぶの声だった…
ゆきは、自分で体が震えるのがわかった。動揺していると義勇がそっと手を握ってきた。
そして耳元で…「大丈夫だ…いつも通りにしておけ」と囁きふすまの前に向かった…。