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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第81章 見せつけられる愛


五月の夜風はまだ少し、肌にまとわりつくようによく冷えた。

薄い羽織一枚では防ぎきれない寒さの中、寛三郎はゆきの膝の上で精一杯に羽毛を膨らませていた。

​「暖マレ、暖マレ…。ゆき、オ前ハ本当ニ良イ子ダ。義勇モ、義勇モ分カッテイル。アイツハ…口下手ナダケデ、心根ハ優シイ子ナンダ…」

​掠れた声で、主人の代わりに必死に言い訳をする鴉…。

その健気な温もりに触れ、ゆきの目から涙がこぼれ落ちた。

その雫が寛三郎の羽を濡らした瞬間、背後から誰かの気配がした。

​振り返る間もなく、熱い手に肩を掴まれる。

​「…戻るぞ。寛三郎は余計な事を言うな。」

​義勇だった。その声には一切の感情がないように聞こえた。

義勇は、寛三郎が必死に伝えていた「優しさ」など微塵も見せず、凍えきったゆきの腕を無言で引き上げた。

有無を言わさず強引に、ゆきを先ほどまでいたあの部屋へと連れて行こうとする。

​「義勇さん…部屋には行きません、しのぶさんとの任務の邪魔になるので…私はここでいいです…だから離して!」

ゆき​の拒絶を、義勇は聞き入れず無理やり部屋へ連れ戻す…。

再び開かれた障子の先。そこには、先ほどまで義勇と口付けを交わしていたしのぶが、静かに、二人を待ち構えていた。

​「あら、連れ戻されたのですね。逃げ出すのは感心しませんよ、ゆきさん」

​しのぶの冷ややかな微笑が、ゆきの胸をチクリと刺す。

義勇はしのぶの視線を真っ向から受け止めながら、ゆきを自分のすぐ側に座らせた。

その手はぎゅっとゆきの腕を離さず、むしろ見せつけるように指を絡める。

​部屋の中は、しんと静まりかえる

外の冷気とは対照的な、息の詰まるような部屋の空気。

義勇は何も語らぬまま、ただ独占欲だけを剥き出しにして、しのぶの目の前でゆきを離さなかった。

「で、冨岡さん彼女をどうするのですか?まさか、三人で交わり合うおつもりで?」

ゆきは、その言葉を聞くと真っ赤になりながら義勇の握りしめる手を振り払おうともがいた。

「ぎ、義勇さん離して下さい!外に出るので…」

「今日の任務は終わりだ。また別日に鬼は誘き出す」

「あらあら…」

しのぶが冷ややかな視線を義勇に向けた。

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