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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第80章 決別


「美月より、君の方がずっと大切だよ。こんな状態の君を、一人になんてしておけるわけないじゃないか」

​無一郎は、ゆきを抱きしめようとした

だが、ゆきは弱々しく、微笑を浮かべて無一郎をかわした。

​「無一郎くん、ありがとう…でも、私は大丈夫だから。もう帰って」

無一郎がどれほど言葉を尽くしても、今のゆきには何も届かない。

絶望の淵にいるゆきの心を占めているのは、自分ではなく、隣の部屋にいる義勇だから…

​本来なら、義勇がしのぶを選んだことは無一郎にとって好都合のはずだった。邪魔者が消え、ゆきに義勇が執着しなくなれば、自分が入り込む隙ができる。

そう計算していたはずなのに…目の前で酷く落ちこんだゆきの姿は、想像を遥かに超えて痛々しかった。

​…好きな子がこんなに悲しむ姿なんて、見たくなかった…

​やり場のない憤りが、無一郎の中で広がる

無一郎は部屋を飛び出すと、義勇の部屋の前へと駆け寄った。

​「冨岡さん! 今夜、僕がゆきの部屋に泊まってもいいよね!?」

​急な無一郎の声…義勇の部屋のふすまがゆっくりと開いた。

現れた義勇の表情は、相変わらずの涼しい表情だった。

​「好きにすればいい。明日の稽古に差し支えがないようにだけしろ」

​淡々と告げ、義勇は無一郎の横を通り過ぎようとする。そのあまりの無関心さに、無一郎が突っかかる。

​「逃げるの? どうして隣の部屋から出ていくのさ。僕たちが何かを始めた時に、声を聞きたくないから? それとも、聞くのが怖いから?」

​その言葉に、義勇の歩みが止まる。背を向けたまま、義勇が拳を固く握り締め震えているのを、無一郎は見逃さなかった。

​「風呂に入るだけだ。また戻ってくる」

​そう言い残し、義勇は一度も振り返ることなく廊下を歩いていった。

残された無一郎は、そんな義勇に腹が立って仕方なかった。

「無一郎くん…本当に一人で平気だから…帰って」

後ろから弱々しくゆきが告げるが無一郎は聞き入れなかった。

「今夜は君と眠る…帰らない!絶対に…。久しぶりだね。一緒に眠るの」

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