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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第80章 決別


産屋敷邸の門をくぐり、一人で帰路につくゆきの足取りは、ゆっくりだ。

いつもなら、義勇の大きな手が自分の手を引き、「転ばないように」と過保護なまでに歩調を合わせてくれていた。だが、今は隣に誰もいない。

​「しっかりしなくちゃ…」

​脳裏に焼き付いて離れないのは、会議の場で見せつけられた、義勇としのぶの親密な姿。

『今夜は胡蝶に呼ばれている。先に一人で帰れ』

先ほど言われた言葉…

あふれ出す涙が視界を遮り、道端の石に躓きそうになる。

何で…涙が出るの?義勇さんはしのぶさんを選んだんだよ…好きかと問われて、私が自らはぐらかした答えなかった。義勇さんしのぶさんを大切にするのは当然…

なのに…なにこの感情は…

​孤独感に押しつぶされそうになる…だって気がつけばいつも義勇さんが隣にいたから…


​その時不意に、背後から荒々しい腕が回された。

​「えっ!?」

​グイと強く引き寄せられ、壁のような分厚い胸板に背中が密着する。

ドクンドクンと、自分よりもずっと早い鼓動が背中越しに伝わってきた。

​「ぎ、義勇…さん…?」

この腕の強さ、包み込まれるような安心感。義勇さんがやっぱり心配して来てくれたの…?

​…けれど、感触が違う。

義勇の滑らかな肌ではない。私にはわかる…

​「……冨岡じゃねェ」

​耳元で響いたのは、義勇さんの声ではなかった。

​「俺だァ」

​泣いているゆきを、不死川は優しく腕に抱いた。

「冨岡に一人で帰れと言われたのかァ?」

「…はい」

「あァ?過保護だったアイツが…極端すぎる」

ゆきは、黙ってしまった…。

「俺がァ屋敷まで一緒に歩いてやるよォ」

ゆきは、思わず不死川の方に向き直り彼に抱きついていた。

そんな様子を上空高く義勇の鴉が見ていた…そう義勇は、安全確保のため鴉をゆきにつけていた…。

しかし…ゆきは、そんな事には気付いていない。

暫くゆきは、泣いた後落ち着きを取り戻し、不死川とゆっくりと歩き出した。

「大丈夫かァ?」

「は、はい…すいません…ありがとうございます」

鴉はそんな二人を、切ない目をしながらそれでも、義勇に命じられた通りにずっと上空でゆきの事を見守り続けた…。



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