第77章 私は誰が好き?〜時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥 【R強】
三人が任務へと向かい、静まり返った屋敷に任務帰りの不死川の姿があった。
冨岡への任務報告という名目だったが、不在と知り、不死川は舌打ちを漏らした。
「チッ、あの野郎…いねェのかよ」
居ないのなら早く屋敷を去ろうとしていた…なぜならゆきに会うのが気が引けたからだった。
先日、抗えない衝動に任せてゆきを組み伏せ、強引に肌を重ねようとしたこと。激情のままにゆきの胸を露わにし、その先端を深く吸い上げた感触が、今も唇に残っている…
誰にでも牙を剥く彼が、唯一、心の底から「優しくしたい」と願った相手。
「俺の初めての女は、お前がいい」
そう不器用に、けれど真っ直ぐに告げたはずなのに。結局、自分の欲でゆきを怯えさせてしまった。
合わせる顔がねェ。あんな真似しといて、どの面下げて…
自責の念から、気づかれぬうちに立ち去ろうと中庭を抜けようとした、その時だった。
「…不死川さん?」
縁側で一人、お風呂上がりのゆきと視線がぶつかった。
不死川は、足を止め、気まずそうに顔を背けた。
「あァ、いたのか。冨岡に、任務について報告があったが、不在なら帰る」
吐き捨てるように言ったものの、ゆきの虚ろな瞳を見た瞬間、帰るはずの足が、動かなくなった。
ふと見ると、ゆきは「不死川さん」と彼の名を呼びながらも、無意識に自分の胸元を隠すように着物を握りしめていた…。
その震える指先が、昨夜自分が無理やり奪おうとした恐怖を物語っていた…。
「…おい」
絞り出すような声は、いつもよりずっと低く、微かに震えている。
「…昨日、言ったことは…嘘じゃねェ。お前を大事にしたいと思ってた。…なのに、あんな、怖ェ思いさせて…」
本当は駆け寄って抱きしめ、謝りたい。
けれど、今の自分が近づけば、ゆきをさらに追い詰めてしまう。
「気にしてません…って言えば嘘になりますが…。私は大丈夫です。今まで通り普通に接していただければ…。」
そう言いながらもゆきの、胸元を握る手が震えているのがわかった。
「普通にかァ…俺はこの前言ったと思うが…」不死川は、頭をかきながら下を向いた
「お前の事を好いている。冨岡の所居るのが辛くなったら家にこい」