第76章 奪い合い〜冨岡義勇 時透無一郎 不死川実弥【R】
「あいつ、どこまで大人気ねェんだ。…あの根暗野郎、嫉妬で見苦しい真似しやがって」
不死川は、美月の手を引いて奥へと消えた義勇の背中を睨みつけ、吐き捨てた。
その腕はまだ、震えるゆきを離そうとはしなかった。
「…不死川さん、私…」
義勇の冷ややかな態度と、美月を選んだかのような振る舞いに、ゆきの心は粉々に砕け散りそうだった。
視界が滲み、足元から力が抜けていく。そんなゆきの様子を察し、不死川はわざと明るい声を出し、懐から包みを取り出した。
「おい、そんな顔すんな。ほら、おはぎ持ってきてやったから。食え」
優しいな…不死川さんやっぱりお兄ちゃんみたい…
ゆきは、不死川の不器用な優しさを無下にはできず、無理やり口角を上げて笑ってみせました。
「ありがとうございます。いただきます」
小さな一口でおはぎを頬張るゆき。しかし、喉をなかなか通らず、その健気な姿は不死川の胸を強く締め付ける。
「ったく、お前は」
ふと見ると、ゆきの唇の端に、小さなあんこがついていた。
そのあまりに無防備で愛らしい様子に、不死川の理性がわずかに揺らいだ。
指ではなく、自らの舌でそのあんこを優しく舐め取った。
「っ…!? 不死川、さん…?」
熱い感触に、ゆきの顔は一瞬で真っ赤に染まった。
不死川は、自分を見上げる潤んだ瞳、そしてかつて高熱に魘されていた彼女に、理性を失って口付けを落とし、蜜の溢れる場所を指で弄った感触を思い出してしまった。
「…お前がそんな顔すっから、我慢できなくなるんだろうが」
愛おしさが爆発し、不死川の体は熱くなる…。
しかし、その光景を、部屋へ入ったはずの義勇が影からじっと見つめていた。
繋がれたままの美月の手が、義勇の強い握力で白く強張る。
自分の腕の中で熱く火照っていたはずのゆきが、今は他の男の舌を受け、恥じらいに染まっている。
静かな怒りと、狂おしいほどの嫉妬が義勇の内で渦巻く。
どうして…俺には少し冷たい態度をお前は取るんだ?俺が頑張ってお前に歩み寄っても軽くかわされているような気がする。
昨夜だって…俺を拒んだ…。
俺のこの気持ち伝わっていないのか?やはり、もっと強引にいかねば気づいてもらえないようだな…