第76章 奪い合い〜冨岡義勇 時透無一郎 不死川実弥【R】
昨夜、義勇に大きな布で包まれ、強引に部屋へ連れ去られた感触が、ゆきの肌には熱く残っていた。
「黙れ。傷に障る」という低い声、至近距離で見せつけられた鍛え上げられた肉体。そして私が唇で付けた跡…逃げ出したものの、ゆきの心は乱れていた。
私は剣士として未熟で、継子としてもお荷物なのに…義勇さんは、私の身体を欲しているのがわかる…
翌朝、義勇の屋敷に不死川が訪ねてきた。
蝶屋敷で、急な任務のため看病を切り上げた詫びにおはぎを持ってきてくれたのだ。
義勇は朝から、怪我で動けない無一郎に代わり、彼の継子である美月を連れて聞き取り任務に出ていた。
有能で凛とした美月と、義勇。
その並びを想像し、ゆきは不死川に胸の内を打ち明けた。
「不死川さん…私、継子として全然だめで。義勇さんに迷惑ばかりかけています。…義勇さんに必要なのは、あんな風に一緒に任務をこなせる美月さんみたいな子なんです」
自分を卑下し、今にも泣き出しそうなゆきを見て、不死川は思わずその頭を撫でた。
「あいつがそんなこと思うかよ。言葉が足りねェだけだ、あの根暗野郎は」
俺は…何冨岡を庇ったような発言してんだよ…
泣きそうなゆきを見て不死川は我慢できず、勢いのままにゆきを強く抱きしめた。
「自分を殺すようなこと言うんじゃねェ」
熱い鼓動がゆきに伝わってくる。
その時…
「何をしている、不死川」
そこには、任務から帰還したばかりの義勇と美月が立っていた。
「あら?ゆきさん今度は風柱様と逢引ですか?恋多き方ですね。蟲柱様から聞きましたよ…ゆきさんは、無自覚な誘惑をすると…今、誘惑したから風柱様に抱きしめられているのですか?」
「こいつは誘惑なんかしてねェ!俺が好いてるから抱きしめてる」
不死川は、そう言って胸のなかにぎゅっとゆきをつつみ込んだ。急な告白に、ゆきは顔を赤く火照らせ腕の中で固まってしまった。
義勇は、そんなゆきを見て酷く嫉妬してしまう。
ゆきを無視するように
「美月、夜の任務の打ち合わせを部屋でしよう。来い」
と告げ美月の手を引き、一度もゆきの方に目もくれず、連れて行ってしまった。