第76章 奪い合い〜冨岡義勇 時透無一郎 不死川実弥【R】
義勇は、薬品のせいで頭がまだガンガンと痛みを伴っていた…。
ふらつく足取りで、やっとのことゆきの病室にたどり着いた…扉を開けると不死川の姿はなくゆきも熱が下がったようですやすやとと眠っていた。
枕元の棚に解熱剤の薬の包み紙と湯飲みに水が、少し残っていた。
義勇が、ゆきの額に掌を当てようとした瞬間にゆきが、目を覚ました。
「ん…ぎ、ゆうさん?」
「す、すまない。起こしてしまったか?」
ゆきは、俺を見るなり何故か気不味そうに横に目を逸らした。
「どうした?」
「た、隊服きちんと着てください…」
ゆきに、そう言われはっとした…シャツも上着も羽織っただけの格好だった…。
「すまない」
「羽織どうしたんですか?しのぶさんの部屋じゃないですか?」
義勇は、ゆきの顔を自分の方に向けた…「不死川から何か聞いたんじゃないか?」
俺がゆきに、そう尋ねるとゆきの怪我をしていない方の指が俺の胸板に伸びてきた…
隊服は開いたままだったので、俺の肌に直接ゆきの指が触れる…。
胸が高鳴った瞬間だった…。
「跡…沢山付いてますよ…」
「聞いてくれ、ゆき。俺は…胡蝶に薬品を嗅がされ、ずっと気を失っていたんだ。俺の意志ではない。 寝ている間に、あいつが勝手にやったことなんだ!」
義勇は、普段のもの静けさが嘘のように必死にまくしたてた。
頭の痛みなどもうどうでもいい。目の前の愛しい存在のゆきに、誤解されたくなかった。
「信じられないのか?」
「信じるも信じないも義勇さんの勝手ですから…私は何とも思ってないです…」
また…そうやって俺を遠ざける…。
「何とも思っていない、だと?」
ゆきは義勇の露わになった胸元から逃げるように視線を逸らし、「早く隊服着てください」とそっぽを向いた。
義勇は無言のまま、ゆきの横たわるベッドに膝を乗せた。
「えっ!?」
驚いたゆきが飛び起きるが、義勇は止まらない。
ゆきを跨ぐようにして覆いかぶさり、じりじりと顔を近づけていく。
「ぎ、義勇さん? 何を」
ゆきは逃げ場を失い、後退する…
ついにはベッドの縁まで追い詰められた。