第75章 水柱と継子 霞柱と継子〜冨岡義勇 時透無一郎 不死川実弥
その様子を見て動けない義勇を見て不死川は切れた
「おい!突っ立ってんなら桶に水入れて、手ぬぐい貰ってこい!」
義勇は指示された通り、桶と手ぬぐいを運んできた。
部屋に戻ると、そこにはすでに血に汚れた隊服を脱がされ、清潔な浴衣に着替えさせられたゆきがいた。
不死川は、大きな手で不器用そうに、だが丁寧に血のついた彼女の隊服を畳んでいた。
「不死川後は、俺が看病する。お前は任務があるのではないのか?」
「はァ…お前に任せるわけねェだろ?時透の様子でも見てこいよ!」
義勇は、熱で汗びっしょりで苦しんでいるゆきの側に座り込んだ。
そして、不死川の冷たい視線をよそに手ぬぐいを絞り汗を拭い始めた。
「すまない…ゆき…手の怪我を無視してしまい…悪かった…。」
「魘されてるからてめェの声なんか聞こえてねェよ!」
不死川は、義勇がゆきの側に陣取っていることが不満だった。
その頃ー
美月から応急処置を受け、ようやく呼吸が整った無一郎は、静かに布団から起き上がった。
肩の刺し傷は幸い深くなく、意識もはっきりとしている。
落ち着きを取り戻した彼が真っ先に思い浮かべたのは…
「ねぇ、ゆきはどこ?」
側にいた美月に問いかけると、彼女は一瞬だけ視線を泳がせ、すぐに困ったような笑みを浮かべた。
美月は、ゆきの手の甲が鬼の爪で裂かれ、血が溢れていたのをはっきりと見ていた。
しかし、それを教える気はなかった。
「ゆきさんなら、とっくに部屋に戻ってますよ。無一郎様は気づいていなかったかもしれませんけど、彼女、水柱様に厳しく怒られて不貞腐れてたんです。」
美月は溜息をつき、嘘を重ねた。
しかし、無一郎は
「不貞腐れてた? あのゆきが?」
無一郎の脳裏には、最後まで必死に刀を振るっていたゆきの姿が焼き付いていた。
違和感を覚えた無一郎は、美月の制止を無視して、部屋を出た。
すると廊下にまで不死川の激しい怒鳴り声が響いていた。
「不死川さん?」
ふすまを開くと…畳まれた血のついた隊服…そして手に包帯を巻いた熱に苦しむゆきの姿があった
「ゆき!?なんで…どうなってるの?冨岡さん僕言ったよね?ゆきの怪我を見てやってって!!」