第74章 継子美月の罠〜時透無一郎 冨岡義勇 【R強】
暫く義勇は、じっと泣き腫らした目のゆきの寝顔を見ていた。
何故泣いているんだ?まさか…俺とはぐれて寂しかったからか…?
そんな事を考えている時だった。
「水柱様…まだ起きてらっしゃいますか?」
ふすまの向こうから、美月の声がしてきた。
義勇は、ゆっくりと立ち上がりふすまを開いた。目の前には、先程手当をしてやった美月が、ニコッとほほ笑んでいた。
「足の手当てありがとうございます。無一郎様にきちんとお礼を言ってくるように言われまして」
「ああ…大事にならなくてよかったな」
「はい。」
「お前は、本当に太刀筋が良いな…先程も言ったが時透も教え甲斐があるもんだ」
美月は、照れ笑いしながら頭をかいた。
「いや…私はまだまだ。だけど無一郎様の足手まといてならないように、片腕としてそしていつかは、柱になります。でも水柱様にもゆきさんという継子がいらっしゃいます。いつか柱になってくれますよ!」
「ゆきは…いいんだ…柱にならなくとも」
危ない目に合わせたくない…俺が守るから…だから俺の側に居るだけでいい…俺の目の届く所にずっと居て欲しい
「お前なら、柱も夢ではない…どんどん強くなると思う…精進しろ」
「はい!ありがとうございま…あらっ?」
義勇の後ろに、美月は目をやった…
「水柱様…ゆきさんと一緒ではないのですか?」
義勇は、慌てて後ろを振り向くと先程まで布団で眠っていたゆきの姿がなくなっていた…変わりに反対側の中庭へと続くふすまが開いたままだった。
「外の風にでもあたりに行ったんではないですか?」
義勇がとても、気にしている様子を見て美月は、言葉は言葉を続けた。
「水柱様は、ゆきさんにすごく過保護ですね…あっすみません…。つい…」
‐‐
その頃ゆきは、中庭を一人歩いていた。義勇と美月の会話を、聞いていたのだった…。
私は、義勇さんの継子としてまったく期待されていない。美月さんには、あんなに沢山の言葉を伝えていた…。
私は…?
そっか…駄目だから言う言葉もないのか。
「…何してるの?」
静かな声に顔を上げると、そこには無一郎が立っていた。
彼は私の隣に静かに腰を下ろすと、そっと肩に手を置いた。
「冨岡さんと何かあった?部屋から抜け出してきたの?」