第74章 継子美月の罠〜時透無一郎 冨岡義勇 【R強】
鴉の伝達を聞き無一郎とゆきは、藤の家に向かっていた。
藤の家に向かう道中、無一郎は隣を歩くゆきの様子をうかがっていた。
「大丈夫?顔色が悪いよ」
義勇とはぐれた不安とさきほど男達に絡まれ山賊の事を思い出し、俯き不安がちなゆきを無一郎は心配していた。
無一郎は、ゆきの細い肩をそっと抱き寄せた。
「だ、大丈夫です。歩けます」
無理に他人行儀な口調…肩も震えたまま…
「藤の家に着けば、冨岡さんは居るよ。それまで不安で怖いなら僕に身を委ねてよ…お願いだよ」
無一郎くんの顔を見るととっても心配してくれているのが伝わって来た…。山賊に汚された私に優しくしてくれる…
ゆきは、無一郎の肩に頭をゆっくり寄せていった…無一郎は、そんなゆきを大切に抱き寄せ藤の家へ向かった。
暫く歩くと、辺りから藤の花の香りが漂ってきた。月に照らされ見事に咲き誇る藤の花が見えてくる…。
その頃…
義勇と美月は街外れまで来ていた。
「水柱様…もしかしてゆきさんはもう鴉の伝達を聞いて藤の家に行ってるかもしれませんよ?」
美月は、必死に探す義勇に話し掛けるが聞く耳を持ってくれなかった。
そこまでして、あの人が大切なの?水柱様も無一郎様もあのゆきと言う人のどこがそんなにいいの?
継子のくせに守られてばかりの子のどこがいいの?
美月は、わざと少し高さがある場所で、気づかないふりをしてそこから落ちた…。
「きゃー!!」
前を歩いていた義勇は、悲鳴に気付いて後ろを確認する…。さきほどまで、後ろに居た美月が消えていた。
「お、おい!?大丈夫か?」
義勇が、覗き込むとそこには地面に横たわる美月の姿が見えた…
‐‐‐‐
藤の家では、無一郎がまだ落ち着かないゆきを、自分が用意された部屋に連れてきていた。
「冨岡さんが、まだここに来ていないから来るまで僕の部屋に居たらいいよ…」
藤の家で無一郎は、不安に震えるゆきを優しく抱き寄せた。ゆきは、拒もうとしたが無一郎は離さず
「冨岡さんが来るまで、僕が守るから」
という甘い言葉と共に、無一郎は密室でゆきを独占しようとしていた…
一方、義勇は美月の罠に嵌まり、足止めを食らっていた。