第74章 継子美月の罠〜時透無一郎 冨岡義勇 【R強】
「お前ら死にたいの?」
無一郎が、冷たい表情で男達をじっと睨みつけていた。
「こいつまだガキじゃねーか!」
男の一人が、馬鹿にした態度で無一郎に近づいた……しかしすでに無一郎は、途轍もない速さで男の喉に切先を当てていた。
「あ、あ、あ、、、」
「誰に口効いてるの?ガキって誰の事だよ?」
「す、すまない許してくれ」
無一郎は、男の喉に日輪刀を向けたまま「鬼に遭遇しなくてさぁイライラしてたんだよね」とその男に気怠そうに言い放った。
今にも突き刺しそうな雰囲気、威圧感を無一郎は漂わせている…。
「汚い手で彼女に触ってたよな?俺に殺されたい?」
「い、いえ滅相もございません…」
「俺の気が変わらないうちにさっさと行けよ。クソ野郎」
男達は、腰を抜かしながら散り散りに、路地の闇の中へ消えて行った。
心臓がバクバクする。山賊にされた行為がいっきに頭に蘇る…お酒の匂い…ゴツゴツした手…私の身体を荒々しく撫で回す…
無一郎が、ゆきに目を向けた時にはすでに、うずくまり身体を抱え込んで震えていた。
「ゆき!」
駆け寄りゆきを、優しく包み込んだ…柔らかい手つきで丁寧に胸の中に大切に抱き寄せた。
「あ…あ…いやっ…」
「大丈夫だよ…大丈夫…安心して。僕だよ」
私を抱きしめるその手は…ゴツゴツしていない…顔を上げると…無一郎くんの優しい眼差し…。
涙をいっぱい溢れさせて君は怯えている…どれほど怖い思いを君はあの日したのか…身に染みてわかるよ…。
細い肩は震えている。
こんなに深い心に傷を負っている君に僕は…なんて酷い言葉を言ってしまったんだ…。
「ゆき…落ち着いたかな?」
腕の中で次第にゆきの震えは止まっていた。それに君は、僕の隊服をギュッと握ってくれていた。
堪らなく愛おしさが募る。
「あ、あのすみません…」
ゆきは、急に我に返り握っていた手を離し他人行儀に謝った。
「やめてよ…その話し方」
無一郎が、もう一度ゆきを抱き寄せた。
「まだ震えてる…落ち着くまでこうさせて」
ゆきは、無一郎に素直に従った。なぜなら…本当に怖かったから…あの日が蘇ったから…
「冨岡さんは?はぐれたの?僕達もこの街に任務で来ていたんだ。」