• テキストサイズ

鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第73章 君を取り返すために〜冨岡義勇 時透無一郎


雲が多い夜だった…月をすぐに雲が隠して闇が深くなる…

静まりかえった街を義勇は、必死に走り回りゆきを探した。

「またもしもの事があったら…俺は生きていけない…」

ゆきは、夜の街を一人歩いていた。

「一人で任務を遂行できる…いつまでも義勇さんの重荷になれない…あの美月って子に…弱いって言われた…私は義勇さんの継子なのに…」

涙を浮かべながら言葉に詰まった…

「よりによって鬼ではなく、人間に…負けるなんて…」

忘れていた記憶を思い出す…あの山賊達の気持ち悪い感触を…

匂いを…

痛みを…

ゆきは、胸を撫で下ろす…落ち着いて…私…落ち着くの…大丈夫…私の体は…

「私の体は…私の体は?」

その時背後からふわりと優しく抱きしめられた…。

頬に触れる長くて…柔らかい髪の感触…。義勇さんより華奢な体は…

胴に回される白くて綺麗な腕…

「君の体はとても綺麗だよ…誰よりも一番綺麗だよ」

「…っ、時透様!?」

​他人行儀な呼び方で名を呼び、その腕から逃れようと身を捩る。

無一郎は離さない、逃がさないという強い意志を込めてさらに深く腕を回した。

​「どうして、そんな風に呼ぶの。前みたいに呼んでよ」

​耳元で囁かれる声は甘く、それでいて泣き出しそうなほど切ない。

無一郎は、彼女が不死川や義勇に抱かれているのだと誤解し、嫉妬に狂って「汚い」と言い放ってしまった自分を、死ぬほど悔いていた。

​「離してください。時透様の言う通り、私は汚いんです。あの時、山賊たちに…」

​ゆきが震える声で打ち明けた真実に、無一郎の心臓が止まりそうになる。

不死川たちへの嫉妬で、ゆきが本当に負った深い傷に、お館様に真実を聞くまで気づかなかった。

​「…ごめん。本当に、ごめん…」

​無一郎はゆきの背中に顔を埋め、謝罪の言葉を繰り返した。

​「あんな酷いことを言って本当にごめん…僕は最低だ。でも、違うんだ。そんなことで君が汚れるわけない」

​胴に回した腕に力を込め、ゆきの存在を確かめるように抱きしめる。

​「君の体はとても綺麗だよ。僕にとって君は、誰よりも一番綺麗だ。あいつらの記憶なんて、全部僕が忘れさせてみせる…」

​「無一郎くん…」


/ 642ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp