第72章 真実〜冨岡義勇
義勇の屋敷へ辿り着いた無一郎を待っていたのは、固く閉ざされた門と、そこに立ち塞がる義勇だった。
「帰れ、時透。今は…会わせるわけにいかない」
義勇の瞳は、真剣だった。
無一郎は荒い息をつきながら、義勇を睨みつける。
「どいてよ、冨岡さん。全部聞いたんだ。お館様から、あの日何があったのか。僕はゆきに、どれだけ酷いことを言ってしまったのか…謝りたいんです」
「聞いたのなら、なおさらだ。ゆきはお前を傷つけないために、あの日、必死に嘘を吐いた。今のお前に会えば、ゆきはまた、自分の傷よりもお前を傷つけたことを悔やんでしまうだろう」
義勇の言葉は重い。
「今のゆきに必要なのは、これ以上心を揺らさず、静かに休むことだ。今のままのお前が行くのは…あいつにとって、あまりに負担が大きすぎる」
無一郎は、ゆきの事を考え義勇の屋敷を後にした…。
竹垣の隙間から中庭が見えた。
心臓が波打つ…縁側にゆきが座っていた。
隊服は着ておらず桜色の着物を着ていた…。
思わず竹垣に手を伸ばしたその時、その手を誰かに掴まれた…。
振り向くと笑顔の美月だった…
「冨岡様に注意されましたよね?行きましょう。もう無一郎様の婚約者ではないのですよ。あの方は…忘れましょう。」
美月が、離れようとしない無一郎にギュッと抱きついた。
「無一郎様…帰りましょう。美味しいご飯作りますから…ねっ?」
無一郎が、もう一度竹垣の中に居るゆきの方に目を向けた…
こちらを驚いた表情で、ゆきは見ていた…
慌てて僕に抱きつく美月を離そうとしたが、見る見るゆきの表情が曇っていく…
違う、違う、誤解なのに…誤解だって…
ゆきは、屋敷の中に入って行ってしまった。
ーーー
屋敷の中では、義勇がゆきを探していた。
「どこに居たんだ。姿が見えないから心配した」
「ごめんなさい。縁側で空を見てました。」
「そうか…外は冷えるから縁側に出る時は何か上に羽織れ」
さっき無一郎くんが来ていたんだ…あの継子と一緒に…。私の事見ながら寄り添っていた…。義勇さんは、無一郎くんが訪ねてきた事を言ってくれない…。
でも、もうどうでもいい…無一郎くんと私はもう繋がりはない
婚約者ではないから