第71章 新しい継子〜時透無一郎 冨岡義勇
「被害者ぶるのもいい加減にしてよ」
無一郎の声が、病室に響いた。
過呼吸気味に震えるゆきを憐れむどころか、その拒絶が無一郎の歪んだ独占欲に火をつけた。
「自分が他の男に体を許しておいて、僕が触れるのは嫌なんだ? 矛盾してるよ。それとも何、あの二人とはもっと乱暴に楽しんだから、僕の指先じゃ物足りないってこと?」
「違う…っ、そんなんじゃない…お願い、もう言わないで…!」
ゆきは耳を塞ぎ、床に額を擦り付けるようにして縮こまった。
だが、無一郎の言葉は止まらない。
心の中で「言い過ぎだ」と警告する自分がいるのに、目の前でボロボロに崩れていくゆきを見れば見るほど、さらに深い傷を刻み込みたいという衝動が突き上げてくる。
「泣けば済むと思ってるの? 汚いよ、本当に。他の男の痕跡を体に残したまま、僕の前に平然と現れてさ…。婚約解消? 都合が良すぎるよ。僕を裏切って汚れた罰、一生かけて受けてもらうから」
無一郎は膝をつき、怯えるゆきの髪を乱暴に掴み上げて無理やり顔を向けさせた。
涙でぐちゃぐちゃになった目に、無表情の自分の顔が映る。
ゆきのその恐怖に染まった表情が、皮肉にも彼を満たしてしまった…
「冨岡さんも不死川さんも、君がこんなにもろいって知ってるの? それとも、二人の前ではもっと …」
「やめて!!」
絶叫に近い声だった。
しかし、無一郎は止まらない、ゆきを追い詰め、逃げ場を奪い、自分がいなければ息もできないほどに叩き折る。
それが「裏切られた」と思い込んでいる無一郎なりの、歪みきった愛の証明だった。
「逃がさないよ。君がどれだけ汚れても、僕が飽きるまでは僕の所有物だ。お館様が何と言おうと関係ない。君を壊すのは、僕だけだ」
無一郎が、ゆきの掴んでいた髪を離し次は頬に触れていく…
そのまま指先はゆきの顎のラインから首筋うなじへと、伸びていく…
強引な無一郎の行動で、完全に山賊からされた記憶が蘇る…震えが止まらない…
怖い…触れられる度に身体が強張る…