第71章 新しい継子〜時透無一郎 冨岡義勇
私にある不安が襲った…
無一郎くんの隣に、もう私の居場所はないのかもしれないそんな事をここ毎日考えている…。
そんな不安が現実味を帯びたのは、またアヲイさんから新しい継子の話しを聞いたからだ。
無一郎くんに新しくついた継子は、私と同じ年頃の、短髪で快活な女性だった。
彼女は凛とは違い、誰に対しても明るく、任務にも忠実だと教えてくれた。
一週間、二週間…
一度も無一郎は来ない
「新しい継子の指導が忙しいのだろう」
としのぶさんは私に教えてくれたけど…。
「しのぶさん私もう動けます。外に出る許可をいただけますか?」
ようやく降りた許可を握りしめ、私は無一郎くんの屋敷へと向かった。
無一郎くんを驚かせたいという気持ちと、真実を確かめるのが怖いという気持ちが、足取りを重くさせる。
屋敷に近づくと、聞き慣れた木刀の音と共に、楽しげな笑い声が聞こえてきた。
「無一郎様! 今の打ち込み、どうでしたか?」
「悪くないよ。でも、もう少し腰を落として」
生け垣の隙間から見えたのは、日の光を浴びて汗を流す二人の姿だった。
無一郎くんが、あんなふうに誰かに、熱心に稽古をつけているのを見たことなかった。
私の前で見せる、穏やかな表情とは違う「霞柱」としての顔
私を傷つけないようにと、腫れ物に触れるように抱きしめていた…。
けれど、今彼の目の前にいる彼女は、傷つくことを恐れず彼にぶつかっていく。
私は、無一郎くんにとって守らなきゃいけないだけのお荷物だったのかな…
差し入れにと持ってきた包みが、指先から滑り落ちそうになる。
声をかける勇気も出ないまま、私は影に隠れて、ただ二人の眩しい光景を見つめることしかできなかった。
その時後に気配がして振り返ると
しのぶだった…
「ゆきさん…あなたは冨岡さん、時透君お二人に甘えて都合よく癒しをもらっていたのですよ…お二人の心を気遣いもせず。そして今は冨岡さんも時透君もあなたには、無関心…。罰が当たったのだと思います。」
しのぶの的確な言葉が突き刺さる。
「甘えていた」という指摘を否定できず、私はその場に崩れ落ちた。
無一郎くんの眩しい笑顔は、私がいなくても成立する。
稽古に励み、見つめ合う二人はお似合いだった。
汚れた私なんかよりずっと…