第87章 口付け【R18】冨岡義勇
ふすまを開けた瞬間、無一郎が目の前にいた
「どこにいたの?…身体、すごく熱いみたいだけど」
無一郎はゆきの返事も待たず、強引にその手首を掴んで引き寄せると、鼻先が触れ合う距離でゆきの匂いを嗅いできた。
自分こそ美月さんを抱きしめ、愛おしげに背中をあやしていたくせに…。
「お水を、飲みに行ってたの。無一郎くんこそ…美月さんとは、もういいの?」
精一杯の強がりで問い返すと、無一郎は不機嫌そうな顔で「終わったよ」と素っ気なく返された。
そのまま無一郎は、ゆきを壁に押し込むと、隊服の襟元に顔を埋めた。
「ねぇ…喉が渇いてたなら、僕が潤してあげる。さっきの続き、もっとすごいのしよ…?」
耳元で囁きながら、無一郎の舌がゆきの首筋を這う。
いつもならその愛撫に、ゆきの身体はすぐに反応して濡れてくる。
けれど今、無一郎の指が太腿の奥へ忍び寄ると、ゆきが思い出すのは、闇の中で自分を追い詰めた義勇の、激しい口付け…。
義勇さんの匂いが…まだ、消えてなかったらどうしよう…
「…っ、ん、や…だ…っ」
ゆきは思わず、自分をまさぐる無一郎の手を必死に押さえ込んだ。
「…今日は、ごめんなさい…どうしても、そんな気分になれなくて…」
必死に顔を背けるゆきを見つめ、無一郎は不安になった。
「さっき、君を一人にして美月の所に行ってごめんね…。それで嫌になっちゃったの?」
「ち、違うよ!ほらっさっき途中になっちゃったから…その…」
口籠るゆきを、見て無一郎は肩を落とした…そして核心に触れてきた
「さっき、庭の…物置小屋の近くに…居た?」
ゆきの鼓動が、速くなる…
「物置小屋?何で?お水飲みに行ったから台所に居たよ。」
無一郎が、真剣な目で見てくる…揺らいだら駄目…ゆきは、平静を装った…。
「違うならいいんだ。おやすみ…今夜は別々に寝たほうが君はいいみたいだね。」
「うん…」
無一郎は、障子を開き隣の部屋へ入って行った。