第69章 淫らな六つの夜〜時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥【R強強】
不死川が、病室に入ると同時にゆきが「一人で、もう大丈夫ですから…」と告げた。
伏せていた顔を上げ、まずは不死川へと恐る恐る目を合わせた。
「不死川さん、さっきは大工さんの前で取り乱してしまって、ごめんなさい。私がもっと、しっかりして強くならなきゃいけないのに…」
ゆきの言葉に、不死川は胸が痛んだ。
「お二人とも…あまり私と一緒にいない方がいいと思うんです。しのぶさんが仰っていました。私の振る舞いは、男性を誘っているように見えるって。だから、これ以上関わるとお二人の迷惑になってしまうから…さっきもあんな失態をお見せして…」
不死川が抑えきれない憤りを感じたように口を開く。
「胡蝶にそんな事言われたのかァ?訳わかんねェ」
義勇は、ゆきを安心させるように一歩踏み出し、迷いのない口調で話す。
「胡蝶の言葉など気にする必要はない。お前が誰かを誘っているなど、俺は一度も思ったことはない」
「そうだ。あいつが何を言おうと関係ねェ。ゆき、お前が自分を責める必要なんてどこにもねェんだよ。」
ゆきは、「ありがとうございます」と小さく答えた。
二人とも優しい…こんな私に優しい言葉をかけてくれる…。
「くしゅん!」
水をかぶったゆきの体は、限界まで冷え切っていたのだ。
義勇が咄嗟に抱き寄せようと手を伸ばしたが、その指先が触れる前に、不死川が素早くゆきを抱いた。
「おい!不死川俺がする」
「黙ってろ」
不死川は義勇を鋭く睨みつけると、ゆきをベッドへと運ぶ。震える体に丁寧すぎるほど優しく毛布を掛け、そっと髪を撫でた。
「安心しろ。…何も心配いらねェから、ゆっくり眠れ」
向けられたのは、見たこともないほど穏やかな微笑みだった。
それから不死川は、立ち尽くす義勇に冷たい視線を向ける。
「二人も番はいらねェ。冨岡、てめェは帰れ」
「何故だ」
「何故だと? てめェ、そのうなじの跡…隠す気もねェだろ。隙あらばまた手ェ出しそうな奴に、こいつを任せられるかよォ」
時透の帰還を前に、ゆきにある山賊の感触を上書きしたいと焦る義勇がいた、それを不死川の直感に完全に見透かされていた。