第69章 淫らな六つの夜〜時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥【R強強】
翌朝、ゆきは飛び起きるように目を覚ました。
心臓の鼓動が激しく、誰かに愛された記憶が鮮明に脳裏をよぎる。
「夢よね?」
隣に義勇の姿はなく、一人であることに安堵したのも束の間。ふと自分の姿に目を落とし、ゆきは息を呑んだ。 帯は力なく解け、浴衣の合わせは無残に開いて胸元が露わになっている。
肩からずり落ちた袖は二の腕で止まり、昨夜の出来事を物語るように、白いうなじには赤らんだ痕が微かに浮かんでいた。
だが、鏡をみていないゆきは、うなじに唇の跡がある事に気付けず…半信半疑で浴衣を整えた。
夕刻前にゆきは蝶屋敷の廊下を歩いていた。
今朝、目覚めた時の自分の乱れた姿を思い返し深く溜め息をついた。義勇さんは、部屋には居なかった…私が眠った後に…いや、そんな事しないと思う…。山賊の夢も見たような気がするし…魘されて寝相が悪くて浴衣が乱れたんだろう。
勝手な解釈で、ゆきはその事を忘れようと考えながら廊下を進むと、屋根の修理に来ていた若い大工が困り顔で立っていた。
「すみません、壊れている箇所が分からなくて…」と声をかけられ、ゆきは足を止める。
しかし、説明しようと歩み寄る彼との距離が縮まった瞬間、男の体温と圧迫感が、昨夜の悪夢…山賊に襲われた記憶を鮮烈に引きずり出した。
「あ…」
呼吸が浅くなり、体が震える。昨夜の乱れた姿は、本当に寝相のせいだったのか? 迫りくる恐怖に耐えきれず、ゆきはその場にガタガタと震えながらしゃがみ込んでしまった。
「おい、何してんだァ?」
頭上から響いたのは、聞き慣れた声だった。
偶然居合わせた不死川が、顔を真っ青にしているゆきを、心配しながら見下ろしている。
大工を鋭い目線で追い払うと、彼は動けないゆきを無造作に抱え上げ、ゆきの病室へと運び込んだ。
「落ち着け。ここは蝶屋敷だ、誰も何もしやしねェよ」
ゆきは、抱きかかえられている事に気付き慌てて降りた。
その時ふと前かがみになった拍子にゆきのうなじが見え、そこに赤い跡がいくつか付いている事に不死川は、気付いた。
「お前、うなじ何かに刺されちまったかァ?」
「えっ?」
「赤い跡が何個か付いているぜェ…」
その頃義勇は…