第69章 淫らな六つの夜〜時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥【R強強】
ゆきは、そろそろ眠くなってきた旨を義勇に話すと「お前が眠ったら部屋を出ていく」と告げられ部屋の端の椅子に腰掛けた。
ゆきの安眠を邪魔せぬよう一定の距離を保つつもりだった。
部屋にゆきの規則正しい寝息が聞こえ始めたので義勇は、外に出ようとした…その時
「んっ…うっ…い、いやっ…んっ来ないで…」
「ゆき!?」
義勇は、慌ててゆきの側に駆け寄ると汗びっしょりになり魘されている様子だった、山賊の夢を見ているのか?
「いやっ…こわ…い…やめて…痛い…痛いよ」
義勇は、苦しげな声を漏らすゆきを放っておけず、迷いを捨てて布団へと入った。
背後から震える身体を力強く抱き寄せ、その熱を閉じ込めるように密着した。
「案ずるな。俺がここにいる…」
耳元で囁きながら、義勇はゆきの髪をかき上げ、露わになった白い首筋に顔を寄せた。悪夢の恐怖を消し去るように、かつて愛し合っていた頃ゆきが一番敏感だった所に軽く口付けをした。
うなじに伝わる情熱的な唇の感触と、腰に回された強い腕。その温もりに、ゆきの意識は山賊の恐怖の記憶から懐かしい甘い痺れへと塗り替えらていく。
「んっ…ふあ…」
無意識に漏れる甘い吐息を、義勇は満足げに聞き届け、義勇はゆきのうなじに、自分の跡を残すように何度も唇や舌で触れた。
義勇の放つかつて愛に溺れたその香りに包まれ、ゆきはいつしか、義勇の腕の中で深い安らぎへと沈んでいった。
どうしたんだろ?この感覚…懐かしいな…気持ちがいい…懐かしい香り…かつて毎晩誰かに愛されていた頃…の甘い記憶…。気持ち悪い山賊より、強くて甘い記憶の中の快楽…。
いけないことだと理解しているのに、この甘い快楽に溺れたいと望む自分がいる…。
心地の良い…夢…
義勇は、ゆきの熱を孕んだ吐息を耳元で聞きながら、高鳴る鼓動を必死に抑え込んだ。欲が理性を忘れそうになるが、傷ついたゆきをこれ以上壊すわけにはいかない。
「すまない」
ゆきが深い眠りに落ちたのを見届けると、後ろ髪を引かれる思いで腕を解いた。
忍び足で窓を抜け、しのぶに悟られぬよう夜の蝶屋敷を後にする。義勇の胸には、消えない熱だけが残っていた。