第69章 淫らな六つの夜〜時透無一郎 冨岡義勇 不死川実弥【R強強】
三日目の夜…
義勇は予告通りゆきの部屋を訪れた。また一緒に眠ると言われたらどうしようかとゆきは心配していた。
「こっち見てくれないのか?」
ゆきは、義勇とは目を合わさず窓の外を眺めていた。義勇に見向きもしない返事もしないままベッドの上に座り義勇から背を向けたままだった。
義勇さんには、失礼だと思うけど口を利かずずっとそっぽ向いていれば諦めて帰ってくれるかな?
そんな事を考えながらゆきは、一切義勇の方を見なかった。
窓の外は、すごく月が綺麗で、雲もなく月が輝く空…
ふいに、背後からぎゅっと抱きしめられた…突然の出来事で対処出来ずに、簡単に義勇の腕の中に収まってしまった。
「ぎ、義勇さん!?」ゆきが、後ろに振り向いた時に不意に唇が当たってしまった…義勇も不意にだったようで目を見開いて動揺していた。
「す、すまない…これは故意ではない。抱き締めようとしただけだ。信じてくれ」
「わ、わかりました…。今日は私が寝る前には帰ってください。しのぶさんは今夜蝶屋敷に居ます。」
義勇は、ゆきの震える小さな手をそっと取ると、拒絶されることを覚悟していたのだが、ゆきは逃げずに、ただ戸惑うように義勇を見つめ返す。
「いいか。これを男の鼓動だと思わなくていい。一人の、お前を守る者の音だと思ってくれ」
義勇はそう静かに告げると、ゆきの手を自分の左胸へと導いた。
厚い隊服越しでも伝わってくる、力強く、そして一定のリズムを刻む鼓動。
山賊たちのあのおぞましく、荒れ狂った鼓動とは全く違う、穏やかで温かい響きでした。
「動いてる」 「ああ、生きている。お前と同じようにな」
掌から伝わるその熱は、ゆきが抱えていた「自分は汚れている」という冷たい氷を、少しずつ溶かしていくようだった。
義勇の真っ直ぐな瞳に見守られ、ゆきは男性の体温を「心地よい」と感じれた。
「時透に触れられる時も、こうして心音を聴いてみるといい。あいつの音は、きっと俺よりもずっと、お前を求めて動いている筈だ」
ゆきの気持ちを一番に想い、義勇はあえて優しく突き放すように微笑んでみせてくれた。
「この練習なら悪くなかっただろ?」
「はい…ありがとうございます」