第68章 偽りの日々〜冨岡義勇 時透無一郎
重苦しい静寂の中、不死川と義勇は暗い石造りの廊下を歩いていた。
「…冨岡、てめェ分かってんだろうな。殺すんじゃねェぞ。まだ吐かせることもある」
不死川が苛立ちを隠そうともせず義勇に告げた。
ゆきを心身ともに傷つけた山賊への殺意が、不死川の全身から溢れ出る。
対する義勇は、いつも以上に表情は冷静だった。
「分かっている。死ぬよりも苦しい思いをさせるだけだ」
短く返した義勇の言葉には、温度が全く感じられない。
「随分と冷てェツラしやがって…。だが、同感だ。ゆきの震えが止まらねェ理由、その身に刻ませてやるよ」
二人の前に、重い鉄格子の扉が見えてきた…。
奥から聞こえる男達の笑い声が、二人の怒りに拍車をかける。
男達は、不死川と義勇の姿を見て二人は震え上がり隅に逃げて隠れた…だがしかし一人の男は違った。
「鬼狩り様のお出ましか…お前らのお姫様は元気か?」
不死川が切れた表情で、男に近づく
「答える筋合いはねェ!」
男は、不死川と義勇を交互にニヤニヤ眺めながら口を開いた
「あんな極上の女、そうそう拝めるもんじゃねぇ…。白い肌だったなぁ。突き上げてやるたびに、あの女、やめてって甘い声で鳴くんだよ。やめてと言うくせに、奥までぶち込んでやったら、ひくひくと俺を締め付けて離さねぇんだよ。」
男は舌を出し、その感触を思い出すように鉄格子を舐めた。
「耳元であえぐ声が今も離れねぇ…。ありゃあ、身体の芯まで俺のモノを欲しがってたぜ。お前らには一生引き出せねぇような、快楽を俺はあたえてやった。唇も柔らかかったなぁ」
「…黙れ」
義勇の怒りに震えた声が牢獄に響く
「ヒヒッ…!悔しいかよ?俺がたっぷり汚してやったよ。えっ?まさか、お前あの女に惚れてるのか?鬼狩り同士で恋愛遊戯かよ?せいぜい優しく抱いてやるんだな!兄ちゃん。俺のお古だけどよ。」
「あァ…もういい。てめェのその腐った臓物、全部引きずり出して、今の言葉を後悔させてやるよォ…!」
不死川の顔が怒りで染まっていた…。
こんな男にゆきは、汚されたのか…俺が一緒に居たならば今も変わらず普通に笑えていたのに…
俺が一人にしたから、俺が判断を誤ったから…ゆきは…
「許さない…」
俺の世界一愛おしい大切な宝物を、傷つけた…許さない…
