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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第68章 偽りの日々〜冨岡義勇 時透無一郎


あの日以来無一郎は、無理にゆきに近づかなくなった。

必ず扉の隣に椅子を置いてそこから動かなかった。

「足痛む?」

無一郎が、椅子に腰掛けて折り紙を折りながらゆきに質問した。

「うん…まだ歩けないくらい痛い…」

「崖から落ちたんだよね?」

「そ、そうだよ」

ゆきは、まっすぐ見つめてくる無一郎から目線を外した。
本当は、山賊に踏まれ蹴られ握られ足首を痛めつけられた…。その時の光景が脳裏を霞む…

無一郎は、ゆきの手が小刻みに震えているのに気が付いた。

「嫌なこと思い出させちゃったねゴメン…辞めようこの話は」

無一郎くんの屈託のない綺麗な笑顔が私には眩しすぎる。

「無一郎くん…もう少しそばに来て…」

「えっ?いいの…怖くない?」

「来て」

無一郎は椅子から立ち上がり、ゆきの呼吸に合わせてゆっくりと歩み寄った。

ベッドの傍らに跪いた無一郎は、見上げるような形でじっとゆきを見つめる。

​「ここなら、怖くない?」

​手を伸ばせば、彼の柔らかな髪や頬に触れられる距離。

無一郎は、真っ直ぐに愛おしいゆきを見詰めた。

ゆき​は震える手を伸ばしかけ、あと少しのところで躊躇した。

男性への恐怖と、彼への愛しさが胸の中でせめぎ合う。

すると無一郎は、自分からは触れずに、ゆきの指先にそっと自分の吐息が届くほど顔を寄せた。

​「ゆきの気が向くままでいいんだよ。僕はどこにも行かないし、君を傷つけるものは全部僕が斬るから」

​甘く囁くような声と、熱い視線。

触れそうで触れない指先にも無一郎の熱が伝わってくる。

「こんなに近くで、久しぶりに君の顔を見れただけで僕は今幸せだよ。今夜の任務も頑張れるよ。ありがとう」

ゆきの目から大粒の涙が無一郎の目の前に落ちてくる…。

「涙を拭ってあげたいけど…怖いよね…」

無一郎は、ゆきを今すぐにでも抱き締めたくて堪らなかった。

「拭ってほしい、だけど、まだ怖いの」

​震える声で告げたゆきに、無一郎は愛おしそうに目を細め伸ばしかけた手を静かに下ろた。

ーその頃

不死川と義勇は、ゆきを襲った山賊達が投獄されている場所へと、向かっていた。














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