第66章 秘密〜時透無一郎 冨岡義勇【R】
二人の秘め事は、静まり返った藤の家の一室を甘く支配していた。
無一郎は、障子の向こう側の気配に気づいていた。
廊下で立ち止まり、自分たちの愛しあう音を、逃げ場もなく聞き続けている——冨岡さん。
その気配を感じ取った瞬間、無一郎の独占欲は強くなった。
「…っ、んっあ…っ」
愛おしいゆきの唇を食べるように吸い上げながら、無一郎はわざと、ゆきの手首を強く布団へ押し付けた。
ゆきから漏れる甘い悲鳴が、義勇の心をえぐることを確信して…。
「ねえ、もっと声聞かせて。…外に聞こえても構わないよ。君が誰に抱かれて、誰に愛されてるか、教えてあげなきゃ…」
ゆきは、無一郎の言葉に込められた独占欲に翻弄されながらも、あらがうことができない…。
無一郎の指先が、義勇が触れたであろう肌の箇所を、上書きするように執拗に、熱く、愛撫していく…。
浴衣がはだけ、剥き出しになった肩に無一郎が甘噛みをすると、ゆきは快楽と痛みに身悶え、名を呼んだ。
「むい、ちろう…くん…! だめ、そんな…っ」
「だめじゃない。…君をこんなに熱くできるのは、僕だけだよ…」
無一郎は、廊下へと消えていく義勇の足音を、聞き逃さなかった。
去り際に中庭で響いた、小さな金属音。それが何であれ、もう関係ない。
ゆきが今この腕の中で溶け、自分の名だけを呼んでいる事実こそが、無一郎にとってのすべてだった。
遠ざかる足音を見送った無一郎は、安堵の表情で愛おしそうにゆきの頬を撫でた。
「やっと、二人きりになったね。邪魔者はもういないよ」
「えっ?ずっと無一郎くんと二人きりだよ?」
言葉を遮るように再び重なる唇、擦れる布団の音、そして密やかに交わされる情事。
無一郎はゆきを壊さないように、けれど二度と他の誰の体温も思い出せぬよう、深く、深く、彼女の奥深くまでその愛を植え付ける…
「ゆき…気持ちいい…?」
「う、うん…」
無一郎くん色にまた私が染まっていく…
優しく無一郎は、身体を揺すりながら髪を撫でてくれる…快楽と心地良さが同時にやってくる…。
私は…無一郎くんに愛されている…どんな時でもこの人は私に、無償の愛をくれるんだ…。
揺れる無一郎くんの髪が私の頬をくすぐる…。