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鬼滅~甘い恋の話~時透無一郎、冨岡義勇★R18

第66章 秘密〜時透無一郎 冨岡義勇【R】


重なった唇から伝わるゆきの熱と、甘い吐息。

無一郎は一瞬だけ目を見開いたものの、すぐに愛おしさが溢れ出したように目を細め、添えられたゆきの手の上に自分の手を重ねた。

​「ずるいよ…。そんなことされたら、もう離してあげられない」

​唇を離した無一郎の声は、先ほどよりも優しく、熱を帯びて響く…。

無一郎はゆきの手首を優しく掴み、布団の上に拘束し再び深く深く、吸い付くような口づけを落とした。


その頃義勇は、藤の家で一人湯船に浸かっていた。

先ほどまで、ゆきに触れていた…ゆきの体を熱くさせていた自分の指を眺めていた。

虚しさと寂しさを暖かいお湯が癒してはくれなかった。

「今頃…抱かれてるのか?時透に…」

義勇は、力いっぱい湯船のお湯を叩いた。お湯が飛び散り虚しくも自分に振りかかる…

「滑稽だな…俺は…」

義勇が浴室を出ると、静まり返った廊下には冷えた空気が流れていた。

外の風の音さえ聞こえない無音の廊下…のはずだった。

​自分の部屋へ向かう足が、ある一点で凍りついたように止まる。

​障子越しに漏れ聞こえてきたのは、微かな、けれどあまりに鮮明な…聞きたくない音…。

​重なり合う衣擦れの音、そして、押し殺しても漏れ出してしまうゆきの甘い甘い声。

それは、義勇が先ほどまで必死に自分に向けさせようとしていた、ゆきの声だった。

​   「…っ、むい、ちろう…くん…」

​名を呼ぶ声は、苦しいほどにとろけていた。

それに答えるように重なる、無一郎の低く、優しい吐息混じりの声。

​  「言ったでしょ…。もう離さないって」

​無一郎の言葉は、かつての幼さを微塵も感じさせないほど男らしく、なっていた。

再び重なる唇の音、そして布団が擦れる音が、義勇の鼓動を嫌な速さで打ち鳴らす…。

周りに聞かせてやりたかったゆきとの情事の音を、今俺が反対に聞かされている…。

時透の腕で悶えるゆきの声を…

本当に俺は、滑稽だ…

義勇は、手に持った隊服の胸ポケットから何かを取り出して中庭に投げた。

中庭に、転がり落ちる光るもの…。

「あっ…んっ…」

聞きたくない声が廊下に微かに響く…

「嫌な声だ…」

義勇は、浴衣姿で淋しげに自分の部屋に戻って行った。


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