第66章 秘密〜時透無一郎 冨岡義勇【R】
藤の花の香りが漂う廊下を、無一郎は手慣れた様子でゆきを抱きかかえ、用意された奥座敷へと運んでいった。
部屋に入り、行灯の柔らかな光が二人を照らすと、無一郎はゆきを丁寧に布団の上へとゆきを横たえた。
のぼせて赤らんだゆきの肌は、やけに色気があり息を呑むほどだ。
無一郎はあえて灯りを消さず、ゆきの表情の隅々までを見ながら覆い被さっていった。
「まだ、頭がふわふわしてる?…いいよ、そのまま僕のことだけ考えて」
無一郎の手が、浴衣の合わせ目にそっとかかった。
濡れた髪から滴る水滴がゆきの胸元に落ち、身体がビクンと反応する。
逃げようとする意識を繋ぎ止めるように、無一郎の目がゆきを離さない。
先ほど落とした口付けの首筋の痕を、今度は味わうように舌先でなぞり直した。
「富岡さんのこと、もう思い出せないくらいにしてあげる。…ほら、ここ、まだ熱いよ。僕が触ってるから?」
無一郎の指先が、浴衣の隙間から滑り込み、ゆきの敏感な場所に触れると、ゆきは布団を掴んで悶え震えた。
「そんなに震えて…可愛いね。僕の手、気持ちいいんでしょ?」
ゆきは、顔を赤くしながら潤んだ目で無一郎を見て頷いた。
無一郎くん…忘れさせて…義勇さんの事を…いつも無一郎くんでいっぱいになった時に、義勇さんが私に与えてきて…また気持ちが逆戻りになるの…
今もそう…山小屋での指の感触が…思い出させて私の体を熱くしている…
「何もしてないのにこんなに濡れてるよ?」
それは…義勇さんを思い出してたからだ…自分が恥ずかしいよ…もう義勇さんから与えられたあの快楽に溺れてる…。
「何を想ってこんなに濡れているの?」
無一郎は、ゆきの目の前に濡れた指を見せた。
「まだ何もしていないのに…」
「あ、あの…無一郎くんと居ると…そうなっちゃうの…」
慌てて目を逸らしながら答えた。
「ふ〜ん…本当なら嬉しいな」
ゆきが、そんな会話を終わらすかのように無一郎の両頬に手を添えてくちづけをした…。
「っ…!」
いきなりの事で、無一郎の頭は真っ白になった。
ゆきの方からこんな事してくれるなんて…すごく嬉しかった。
僕を求めてくれる…
愛おしい君…