第66章 秘密〜時透無一郎 冨岡義勇【R】
藤の家に着くと、宿主は気を利かせて広い湯船を二人に用意してくれていた。
湯船に浸かったゆきの体は、お湯の熱と、背後から密着する無一郎の体温に挟まれ、逃げ場を失っていた。
無一郎は濡れて肌に張り付いた自分の髪を煩わしそうに払い、ゆきの首筋に鼻先を寄せる。
「まだ、消えない」
彼は低く呟くと、お湯を含ませた柔らかな布で、ゆきの肩をなぞるように滑らせた。
鎖骨の窪みから、胸元へ。
その手つきは驚くほど丁寧で、それでいて不安気だった。
「冨岡さんの羽織に包まれて、どんな顔してたの? 僕以外にそんなに熱い吐息を漏らしてたなんて、嫉妬しちゃう」
無一郎の指先が、お湯の中でゆきの指に絡みつく。
指の隙間を一つずつ埋めるように。
無一郎は、ゆきの背中に自分の胸板を強く押し当てると、自由な方の手でゆきの顎を上向かせた。
「ねえ、こっち向いて…。目が合わないと、嫉妬で壊したくなっちゃう」
無理やり向けられたゆきの視界には、湯気に濡れた端正な顔立ちの滑らかな無一郎の顔があった。
いつもは無機質な無一郎の瞳が、今は情欲と嫉妬で溢れている。
「冨岡さんに触られたところ…全部、僕が上書きしてあげる。…声、我慢しなくていいよ。ここは僕たち二人しかいないんだから」
無一郎は笑うと、首筋に残っていた義勇の名残を消すように、深く、熱く、舌でなめた。
「…んっ、…」
ゆきが短く声を漏らすと、無一郎は満足げにその喉元を指先でなぞる。
お湯の音だけが響く静寂の中で、彼の甘い囁きが耳元で響く。
「いいよ、もっと鳴いて。…明日になれば、君の体には僕の感触しか残ってない。全部僕のものだ」
無一郎はゆきの耳たぶを軽く噛むと、そのままとろけるような愛撫を続け、湯船の温度以上にゆきの意識を熱く、深く高めていった。
「あっ…んっ…」
長い時間無一郎は、ゆきの体を愛撫していたのでゆきはすっかりのぼせてしまった。
ぐったりしたゆきを湯船から抱え上げ脱衣所で浴衣に着替えさせた。
「部屋でもっと暖めてあげるからね…気持ちよくもしてあげる。」
無一郎くん何か勘ぐっているのかな?
ゆきは、虚ろな目で無一郎に頷いた。