第65章 雪山での秘密の情事〜冨岡義勇【R】
「すまない、本当に」
名前を呼ばれ、義勇はようやくハッとしたようにその手を離した。
しかし一度緩んだ指先は名残惜しそうに宙を舞い結局は自分の膝の上で淋しく握りしめられた。
囲炉裏の火が、義勇達を切なく照らす。
「俺が…一瞬、躊躇した。お前が滑り落ちる瞬間に。俺の反応が遅れたせいで、お前に痛い思いをさせた」
その声は、雪山の地吹雪よりも冷たく、自分自身を痛めつけているようだった。
義勇の脳裏には、いまだに焼き付いて離れないーあの光景ーがあった。
道場で、時透の腕の中にいたお前の姿。
「いえ。私がうさぎなんかに驚いたから…私がいけないだけなんで…いつも足引っ張ってしまいごめんなさい…もっと嫌いになりますよね」
「嫌い?」
ゆきの足首をもう一度握りそのまま太股の方へ上がってきた。
「あ、あの?義勇さん?」
俺はお前への思いを忘れたいがためにわざとお前に冷たく接しているんだ
わざと胡蝶とも仲良くしている
嫌いなわけないじゃないか
時透が、お前に真剣だから…だから心を殺してお前を諦めようとしているんだ
近いよ…義勇さん手も…熱い…私は…もう…義勇さんを忘れかけているのに…
このあなたと会わなかった三日間無一郎くんに毎日抱かれてやっとあなたが、薄れてきたのに…
快楽で、あなたを消そうとずるい方法を使ったのに…
「義勇さん…近いです…手も…離してください」
その言葉に、はっと我に返ったと同時に自分にあんなにすがってきていたゆきに突き放される言葉を突きつけられて胸が痛くて耐えられなかった…。
それでも俺はお前に近づく…近づきたい
「義勇さ…ん?」
どんどん顔が近づいてくる…忘れたいのに…やめてよ…もう
「わ、私は義勇さんが怪我の休息日としてくれた三日間…ずっと…ずっと無一郎くんに抱かれてました。安静になんかしてませんでした…最低ですよね…継子として最低なんです…」
何で?そんな悲しそうな傷ついた顔で見てくるの?
義勇さんが、私を突き放したくせに…
全部忘れろって
鬼殺隊としての任務に集中したいだからもう俺に構うな…って言ったくせに
私の事嫌いか聞いたら…「あぁ」って返事したくせに…
私をこれ以上混乱させないでよ…
「ゆき…」
来ないで…これ以上惑わせないでよ
「手を離してください!」
